金融業界の女性に対するバイアスへのブルームバーグの取り組み
2022年8月10日
教育への取り組みは早期から
女性が職場で真の成功を目指すには、学校教育の段階から変革が必要です。その教育も、カリキュラム改革だけでは足りません。ブルームバーグニュースのアンドレア・ナヴァーロさん(メキシコシティー支局長)は、次のように語っています。
「女性たちに『自分はこの場所に相応しくない』『自分には十分な能力がない』と感じさせる職場の性差別を解消しなければなりません」
ナヴァーロさんは、金融リテラシーワークショップのボランティアとしても活動しています。これはブルームバーグがメキシコの非営利団体であるインタラクティブ経済学博物館(MIDE)と共同で開催している取り組みです。昨年、ブルームバーグは、個人の資産管理や経済に関心のある若年層の女性たちを支援する金融リテラシープログラムを立ち上げました。今年のプログラムには150人以上の女性が参加しました。ナヴァーロさんが説明します。
「女性より、男性のほうが金融やSTEM分野のキャリアに向いているのだといった話をよく耳にしますよね。私たちはそんな風潮を打破し、優れた女性たちのこれまでの貢献に光を当て、次世代の女性たちの可能性を広げていく必要があります」
メキシコから遠く離れた日本でも、ジェンダーに関する時代遅れの考え方は根強く残っています。このバイアスが、テクノロジー分野や金融分野への進路を女子学生に躊躇させてしまう現状があります。
「女の子は数学や科学の成績を気にする必要がない。日本には今でもそんな考えの保護者がいるんです」
そう語るのは、ブルームバーグ東京オフィスの鈴村紀子さん(エンタープライズ営業)。鈴村さんは、ブルームバーグのコーポレート・フィランソロピーのパートナー団体「ジュニア・アチーブメント」のボランティアとしても活動しています。ノーベル平和賞へのノミネート経験もあるジュニア・アチーブメントは、金融リテラシー、仕事とキャリア設計、起業などの教育プログラムを展開する非営利団体。プログラムを修了した学生は、大学の学位を取得してお金の管理にも自信を持ち、キャリアアップや起業への道が広がります。
鈴村さんは、次のように提言しています。
「日本では、大学受験を視野に入れると15歳の時点で理系か文系かという進路の選択を迫られます。そして一度文系を選んでしまうと、理系に転向するのは難しくなります。でも家庭で保護者が子どもにロールモデルを見せたり、金融業界での女性の活躍を見せたりすることで変化を起こせるはず。学校も変われるはずだし、女子学生がSTEM分野に進みやすくする制度を国レベルで導入できるはずです。私たち全員ができることは、ボランティア活動などを通して学生たちと話したり、一緒に活動したりすることで当事者を勇気づけていくことです」
ブルームバーグ主催のイベント「Next-Gen Connect」では、アジア、ヨーロッパ、中東のジュニア・アチーブメントから参加した女子大学生が、ブルームバーグ・ウィメンズ・バイサイド・ネットワークの金融プロフェッショナルやブルームバーグのメンターと交流。金融業界をリードするプロフェッショナルたちから、この業界でのキャリアパスについて学びました。
今年、ブルームバーグは金融機関7社(ブラックロック、クレディスイス、HSBC、マッコーリー、モルガンスタンレー、野村證券、カナダロイヤル銀行)およびNGO団体6社と協力して「Your Future in Finance」のプログラムを開始しました。香港の低所得地域出身者やマイノリティの女子大学生50名に、5週間の研修とメンタリングを提供したプログラムです。
Make it happen here.
トレーニング、スキルアップ、人脈づくり
テクノロジー、科学、金融分野に進んだ女子学生たちに必要なのは、本人がスキルを磨き、自分の能力を社会に示せるようになるまでのしっかりとしたサポート。そこで重要になるのが、トレーニングと女性活躍の実績です。
Youth About Businessのボランティアも務めるヴァネッサ・オンウェさん(ニューヨークオフィスのアナリティクス部門メンバー)は、次のように語ります。
「周りからの励ましがあり、キャリアアップへのツールが揃っていることも重要です。女性の昇進も、意思決定において大きな役割を果たします。STEM分野で働く女性たちに光を当て、平等かつ公正に男性と比較するべき。学生の段階からSTEM分野での目標を描き、達成に必要なリソースを充足させるには、まだ長い道のりが残されています」
ブルームバーグは、2021年に3つの非営利団体と新たに提携を結びました。そのひとつであるYouth About Businessは、ブルームバーグがGirls Who Investと共催する夏季の金融プログラムに参画しました。Girls Who Investは、集中トレーニングとメンターシップを提供している団体。コーポレート・フィランソロピーチームは、3月にGirls Who Investのプログラム修了生を対象に対面式の交流イベントを開催しました。社内のグループでは、ブルームバーグ・ニュー・ボイス、ブルームバーグ・ジェンダー・イクオリティ・インデックス、営業チームも協力しています。参加者はブルームバーグ男女平等指数について学び、『Undiversified: The Big Gender Short in Investment Management(日本語未訳)』の著者であるカトリーナ・ダッドリー氏の講演に出席しました。実際の経験から学んだ教訓や、金融分野で働く女性との対面交流は、どんなに説得力のある文章よりも有益です。これはSEOロンドン(Sponsors for Educational Opportunity:教育機会のスポンサー)が展開するHerCapitalプロジェクトの理念でもあります。HerCapitalは、6週間のメンタリングと履歴書作成のサポートを提供するプログラム。自分の収入を自分で管理し、お互いを高め合う意思で結ばれた女性たちの強固なネットワークを構築するため、イベント、ラウンドテーブル、ワークショップ、オンラインのナレッジプラットフォームなどを提供しています。
2022年の国際女性デーには、ブルームバーグはゴールドマンサックスと協力して「10,000 Women Growth Fellows」(10,000人の女性の成長フェローシップ)を支援しました。この取り組みは、多様な声を支援してインクルーシブな世界経済を推進するプログラムの一環です。ブルームバーグの北京オフィス、ニューヨークオフィス、ロンドンオフィス、そしてベンガルールでは4回目のイベントとして開催されました。ブルームバーグのコーポレート・フィランソロピーチームは、ニュースチーム、営業チーム、メディアチームの女性リーダー数十名の協力の下でイベントを成功させています。各イベントでは、ブルームバーグのオフィス見学、ブルームバーグニュースとブルームバーグTVによるストーリーテリングワークショップ、ビジネスプロフィール写真の撮影会が実施されました。
SEOのHerCapitalでボランティアを務めるナオミ・カーベルさんは、次のように述べています。
「お金に関する教育は、ずっと男女間で大きな差がありました。男性は投資してもっとお金を使うように言われ、女性はお金を使わず貯金するように言われてきたのです。お金について話す時、このようにネガティブな男女間のステレオタイプをなくさなければなりません」
ナオミさんは、さらにこう提言します。
「お金に関わり、お金を理解して管理することで、女性は自分の資産も管理できるようになります。そういうところからも、金融業界のキャリアに進む可能性が生まれてくるのです」
ブルームバーグは、ユナイテッド・ウィメン・シンガポールを通してGirls2Pioneersのメンタリングプログラムも支援しています。ブルームバーグの有志社員が参加し、高等教育への進学を控えた女子学生がSTEM分野を選択肢として検討できるようサポートするプログラムです。こうした取り組みが直接的な人間関係の構築を促し、経験や人脈づくりも支援することで、さまざまなキャリアステージにいる女性がSTEM分野や金融分野でさらに先へと進むモチベーションを生み出します。
シンガポールでGirlsl2Pioneersのメンターを務めるデュー・チャンさんは、次のように述べています。
「多様なバックグラウンドの若い女性たちが、データエンジニアリング、サイバーセキュリティ、ネットワークシステムなどの専門分野を選んでいる姿を見ると勇気づけられます。金融業界や関連業界で、女性の活躍を阻む外部要因を常にコントロールできるわけではありません。それでも自己不信や不安に立ち向かう女性をエンパワーメントすることは可能です。専門知識やスキルはすでに持ち合わせているのですから、もう道のりの半分は達成できています。彼女たちが残りの道のりを完走するため、助言と励ましを提供して自信を持ってもらうのが私の役割です」
企業で働く女性たちは、これまで管理職やCレベル職への道を少しずつ切り拓いてきました。しかし働く女性に関するマッキンゼーの最新レポートによると、女性が全体に占める割合は依然として低く、有色人種の女性が占める割合はさらに低いのが現状です。ジェンダーパリティ(ジェンダーの公正な割合)を実現できていない金融やSTEM分野の企業では、女性の声を公正に反映させるための新たなアプローチ導入がこれまで以上に求められます。
金融業界の女性の存在を高める新しいプログラムやアプローチ(新たに発足したEUの金融業界の女性のための取り組みなど)に注力を続けることで、ブルームバーグは長年にわたって男性中心だった分野でも女性の学生や社会人が活躍できるよう支援しています。社員が持つスキルや会社のリソース活用、そして金融業界の企業や非営利団体との協力を通して、ブルームバーグは点と点を線でつなぎ、女性が金融業界でキャリアパスを描けるように支援し、実践的なトレーニングを通して金融業界への理解を促進しています。さまざまなキャリアステージの女性がソフトスキルを習得し、キャリアの発展につながる人脈を広げられるようなサポートも提供しています。
今年3月の国際女性月間のテーマであった「バイアスを打破する」を踏まえ、ブルームバーグはコーポレート・フィランソロピーおよびそれぞれのパートナーが開催するプログラムで、金融業界やテック業界での男女の平等なアクセス実現を目指すボランティアや支援者に話を聞いてきました。その対話の中心にあったのが、問題の核心を突くひとつの質問です。
「女性や女子学生にとって金融業界をよりインクルーシブな世界に変えるため、今どんなアクションが必要ですか?」