コンテンツにスキップする

【コラム】ホワイトハウスのおせっかい、エヌビディアには不要-リー

WASHINGTON, DC - APRIL 30: Founder, President and CEO for Nvidia Jensen Huang speaks onstage during Jacob Helberg at the Hill & Valley Forum 2025 on April 30, 2025 in Washington, DC. (Photo by Jemal Countess/Getty Images for Jacob Helberg)
WASHINGTON, DC - APRIL 30: Founder, President and CEO for Nvidia Jensen Huang speaks onstage during Jacob Helberg at the Hill & Valley Forum 2025 on April 30, 2025 in Washington, DC. (Photo by Jemal Countess/Getty Images for Jacob Helberg) Photographer: Jemal Countess/Getty Images North America

米政府が前例のない形で企業活動に介入する中で、財務情報の開示が真実の姿を映し出す手段として機能し始めている。

  トランプ大統領の強引な出資が海外売上高に悪影響を及ぼす可能性があると半導体メーカーの米インテルが警告したのに続き、人工知能(AI)向けの半導体で世界をリードする米エヌビディア四半期決算の発表に合わせて厳しい現実を突き付けた。

  同社は中国向け半導体売上高の15%をトランプ政権が徴収しようとしていることについて、訴訟のリスクが生じ、コスト増につながるとともに、競争力を損なう恐れがあり、このような取り決めの対象外となる競合他社を有利にする可能性があるとの見解を示した。

  お決まりの警鐘に聞こえるかもしれないが、だからといって真実味が薄れるわけではない。エヌビディアは、米政府のこうした要求が同社の対中事業拡大を極めて難しくしているというリアルな状況を露呈させた。エヌビディアにとって、中国は最も成長が見込まれる重要な市場だ。

  ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はこれまで同社のロビー活動を主導してきたが、最近はその忍耐力が試されているように見受けられる。

  米中双方がエヌビディア製品の対中輸出を難しくする中、27日のアナリストとのオンライン会見でフアン氏が訴えかけた相手は、明らかにホワイトハウスだったということに注目すべきだ。

  同社は、中国企業への高性能半導体販売の許可を求め今後も働きかけを続けると表明。世界のAI研究者の半数が中国を拠点としていることから、関係する研究から米国を締め出すべきではないと強調した。

  トランプ氏は最近、より高性能な半導体の販売を容認する可能性を示唆したが、正式決定には至っていない。実際、エヌビディアとホワイトハウスのやり取りには確固たる合意は存在しない。

  トランプ氏が記者会見で発表したにもかかわらず、同社は売上高の分配を義務付けた規定はまだ官報に掲載されていないと指摘。そうした規定が正式に施行された場合、エヌビディアと投資家は法廷闘争に巻き込まれる可能性がある。

500億ドルの商機

  週単位で変わるこうした不確実性の中で、エヌビディアのAI半導体「H20」は中国に拠点を置く「わずかな」顧客への販売許可が下りたものの、実際の出荷はまだ始まっていない。

  エヌビディアの障害はそれだけではない。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ラトニック米商務長官の発言が中国側の反発を招き、販売制限の一因となったと報じた。

  FTによれば、米国のテクノロジーに中国の開発者を依存させるように必要最低限だけ売っているとラトニック氏が述べたことを中国当局は「侮辱的」と受け取ったという。

  中国はもともと国産半導体の利用を促す目的でH20の使用制限に動いたとみられ、ラトニック氏のコメントがそれを後押ししたことは確かだろう。

  こうした事情からエヌビディアは今回示した8-10月期見通しにH20の売上高を一切織り込まず、成長鈍化を想定している。しかし、中国絡みの不透明感が解消されれば状況は一変する。

  同社によると、仮に地政学的な緊張が緩和されれば、8-10月期のH20売上高は20億-50億ドル(約2940億-7360億円)に達する可能性がある。

  中国向け販売がほぼ制限されている状況でフアン氏を最もいら立たせているのは、数十億ドルという売上高でさえ、市場が本来抱えている潜在的な規模に比べればごくわずかだということだ。

  今年は「500億ドルの商機がある」と同氏は投資家に語った。「競争力のある製品」を投入できれば、来年はさらに市場の50%成長を見込めるという。

  もちろん、エヌビディアの半導体が全く制約なしに販売される公算は極めて小さい。それでも、テクノロジー面で同社に対抗し得る存在がほとんどないという事実に変わりはない。

  残る課題は価格と供給体制だけだ。フアン氏は明言こそしなかったが、ホワイトハウスに対するメッセージは明白だ。もしトランプ氏が米国で最も勢いのある企業とグローバルなAI競争における米国の地位を支えたいのであれば、最善の策は邪魔しないことだ。

(デーブ・リー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、米国のテクノロジーを担当。以前はフィナンシャル・タイムズやBBCニュースの記者でした。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Does White House Stand Between Nvidia and $50 Billion?: Dave Lee (抜粋)

    This column reflects the personal views of the author and does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE