スタートアップ育成へ国が積極関与、スペースXを手本に-鈴木政務官
占部絵美、萩原ゆき-
国内VCを質・量ともに拡充へ、JICの運用期間延長など機能強化
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オルタナ資産への積極投資に期待、GPIFは人材とノウハウ蓄積を
内閣府の鈴木英敬政務官は、経済成長の起爆剤となるスタートアップを育成するため、政府が顧客となって積極的に後押しする考えを示した。米航空宇宙局(NASA)が技術の開発支援から購入まで担った米スペースXを手本に、創業段階から一貫して支援する体制を狙う。
鈴木政務官は5日のインタビューで、スタートアップ支援が「今回成功しなければ日本でスタートアップは育たない。ラストチャンスだ」と危機感を示した。イノベーション促進を資金面で支援するSBIR(中小企業技術革新)制度を大幅に拡充するほか、補助対象となるスタートアップの成果を積極的に購入することも検討する。

SBIR制度の拡充については、2023年度予算概算要求に金額を明示しない「事項要求」として新たに盛り込まれた。鈴木政務官は規模に関して明言を避けたが、自民党は、同制度に基づく「指定補助金等」を21年度予算の70億円から10倍以上の1000億円に増やすことを提言している。
鈴木政務官によれば、スタートアップ支援はあらゆる政策を有機的に結合し、一体的に推進することが重要。資金やノウハウを提供する国内ベンチャーキャピタル(VC)の質・量の向上に加え、働き手の意欲を引き出すストックオプション税制の権利行使期間の延長など税制改正も必要だという。
日本はVC投資額で米国に大きく後れを取っている。鈴木政務官は、国内VCの拡充策の一環として、産業革新投資機構(JIC)の運用期限延長など既存の公的ファンドの機能を強化し、VCが組成するファンドへの「LP(リミテッド・パートナー)出資を拡大していく」と語った。
日米のVC投資額
出所:内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局「スタートアップ・エコシステムの現状と課題」
ポートフォリオにおけるオルタナティブ(代替)資産の割合が相対的に高い米国の公的年金や大学基金を例に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)には専門人材やノウハウを蓄積し、積極的なオルタナティブ投資を期待すると話した。テスラに投資するカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)のように「安定運用やリスク分散のためにVCを含む未上場株式を活用してほしい」と述べた。
他の発言
- 暗号資産課税の見直し、起業家の成長を止めない税制改正を実現したい
- 今回の見直しは全体の暗号資産やブロックチェーンの税制や制度の在り方の第一歩
- 次のステップは、国民の理解と利用者保護、イノベーションの促進の観点から検討
- 未公開株の流通市場、プロ投資家中心のPTS(私設取引システム)、速やかに環境整備をしていきたい
- 流通市場は未公開企業の資金調達の場、次のイノベーションを生むことできる