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ESG「8条ファンド」に投資家が警戒強める、4兆円超が流出

  • 基準のより厳しい「9条ファンド」には約8000億円が流入
  • 8条はサステナビリティー「促進」、曖昧定義にコンセンサスなし
esg
Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg

アセットマネジャーたちが好む一方で、投資家がますます警戒を強めているように見えるもの。それが、欧州のいわゆる「8条ファンド」だ。

European Union President Charles Michel Meets Ukraine's Prime Minister Denys Shmyhal
EU旗
Photographer: Geert Vanden Wijngaert/Bloomberg

  8条ファンドとは、欧州のESG(環境・社会・企業統治)投資に関する規則で定められた分類の一つ。モーニングスターのデータによれば、資産運用業界はこれまでサステナブルな投資商品とは分類されていなかった600を優に超えるファンドに、「ライトグリーン」とも呼ばれる8条のラベルを貼り付け、結果として8条ファンドは前四半期に大きく成長することとなった。 

  だが、同時に顧客は300億ドル(約4兆円)超の資金を8条ファンドから引き揚げた。一方で、ESG基準のより厳しい9条ファンドでは60億ドルの資金流入が確認された。

  アセットマネジャーらが8条ファンドの商品を販売する際は、投資資金がサステナビリティーの「促進」のために活用されることを顧客に約束する。これは欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に明記された考え方で、2021年3月から適用されている。実体が伴わないのに環境配慮などを装う「グリーンウォッシュ」に対するこれまでの取り組みの中で、世界的に見て最も大胆なものだ。

  それから約1年4カ月が経過したが、ファンド業界の中ではサステナビリティーの「促進」が何を指すのか、ほとんどコンセンサスが得られていないのが現状だ。さらに、EUの当局者の間ですら見解の一致が見られていない。

「ESGらしさ」に疑問

  モーニングスターによると、ESGの観点から最も効果的な方法を模索する投資家にとって、商品間で意味のある比較を行うことは現在は「不可能」だという。

  また、8条の「ESGらしさ」についても疑問が付きまとう。モーニングスターのデータ分析では、8条ファンドのうち約3分の2は、サステナブル投資の最低のエクスポージャー目標値がゼロから10%となっている。

  こうした中、今後新たな規制の枠組みが適用され、フィナンシャルアドバイザーは個人投資家がESG投資を通じて何を望んでいるかという点を考慮に入れて業務に当たらなければならなくなる。さらに、誤解が生じないように金融商品の特性を顧客に説明する必要もある。

  これは、EUの金融・資本市場の包括的な規制である金融商品市場指令(MiFID)の改訂版に修正を加えるもので、資産運用会社への助言を行うロンドンの法律事務所シモンズ・アンド・シモンズは、これによって業界に新たなリスクがもたらされると指摘している。

  モーニングスターは「データが不完全なことに加え、商品間の直接比較ができないため、フィナンシャルアドバイザーは新たに課される義務を果たすのに苦労することになるだろう」としている。

SFDR、第8条と第9条の分類

第8条

  • 環境的もしくは社会的な特性、またはその組み合わせを促進する金融商品
  • 投資先企業のガバナンスが良好であることが条件
  • 「ライトグリーン・ファンド」などと呼ばれ、いわゆるESG投資に該当

第9条

  • サステナブル投資を目的とする金融商品
  • 炭素排出量の削減を目的とする金融商品
  • 「ダークグリーン・ファンド」などと呼ばれ、インパクト投資などが該当
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来週8月12日の「ESGウイークリー」はお休みします。

原題:

Billions Pulled From Controversial Fund Category: ESG Regulation(抜粋)

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