世界市場への深い影響、ストラテジストら懸念-ペロシ氏訪台 (訂正)
Ruth Carson、Charlotte Yang-
市場のボラティリティーやリスクプレミアムが高まる見込み
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投資家が神経質になり安全資産がアウトパフォームするとの予想も

US House Speaker Nancy Pelosi, center, arrives at the Legislative Yuan in Taipei, Taiwan, on Wednesday, Aug. 3, 2022.
Photographer: I-Hwa Cheng/Bloombergペロシ米下院議長の台湾訪問による市場への直接的な影響は薄れつつあるかもしれないが、ファンドマネジャーやストラテジストは米中の関係悪化が市場にもたらし得るより深い影響を懸念している。
米中のデカップリング(切り離し)加速から脆弱(ぜいじゃく)なサプライ チェーンへのさらなる圧力、中国が大量の米国債保有を武器として使う可能性まで、投資家はペロシ議長の訪台の長期的影響について考えを巡らせている。
ペロシ氏の訪台は米中間の競争激化に伴う市場リスクと、関係が悪化した場合の中国市場への戦略的投資や世界の商品価格、また安全資産への影響に注目を集めた。

ラボバンクのグローバルストラテジスト、マイケル・エブリー氏は「この問題は市場の関心が続く期間をはるかに超えて長引くだろう」と述べた。「地政学者たちは、第4次台湾海峡危機にまだ心配なほど近い状態だという見解でほぼ一致している」とも指摘した。
中国による軍事的対応のレベルについての懸念が後退したことや、米連邦準備制度当局者からのタカ派コメントを受けた米国債相場の下落などでアジア時間3日には安全資産が乱高下した。
投資家は、軍事演習や台湾に対する一部の貿易制限以外に中国が講じる報復措置の可能性についてヒントを探し続けている。2日の米国債利回り急上昇は中国が1兆ドル(約133兆円)の保有米国債をどうするかとの議論につながった。

BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンゲン氏は、「米国債売りの規模を考えると中国が保有米国債をペロシ氏訪台の報復に利用しているのではないかとの観測が浮上するのは時間の問題だった」が、「事実だとしても短期的なフローの影響は世界のマクロ見通しへの悪影響によって影が薄くなるため、弱気は限定されるだろう」との見方を示した。
エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、シアドン・バオ氏は「アジア太平洋における米国の影響力が公式に復活すれば必然的に米中のデカップリングが加速するだろう」とした上で 「現在進行中のイベントであることを考えると、投資家は神経質にならざるを得ず、短期的に市場のボラティリティーが高まる可能性を意味する」と分析した。

サクソ・キャピタル・マーケッツのジェシカ・アミール氏も、最近の緊張は投資家の神経をさらにとがらせるだろうと指摘。この結果、より安全な資産がアウトパフォームすると予想。ドルが買われるだろうと述べた。
AMPキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏も緊張悪化が続く場合、米国債や金が有望との見方で、「長期的には、西側諸国と中国・ロシアとの間の冷戦の緊張がさらに高まることが示唆され、これはリスクプレミアムが高まることを意味する」と話した。
原題: Strategists Fear Pelosi Trip to Have Deeper Impact (Correct)(抜粋)