コンテンツにスキップする

ペロシ氏訪台の波紋、世界市場に広がるには時間かかる可能性も

更新日時
  • 中国の穏やかな反応により地政学的リスクプレミアムは緩和
  • より長期の影響は引き続き重要とストラテジスト

米中経済のデカップリング(切り離し)加速から中国が大量の米国債保有を武器として使う可能性まで、投資家はペロシ米下院議長による台湾訪問の世界市場への影響について検討している。米時間2日の市場では中国の軍事的な対応に関する懸念の後退や米連邦準備制度当局者からのタカ派コメントを受けた米国債の相場下落などで安全資産が反落した。

  4営業日で2020年以来の大きな上げを演じていた円は、突然方向転換し1%余り下落。10年物米国債利回りは18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。株式相場は引き続き弱含み。

Investors seek out, then dump Treasuries and the yen amid Pelosi visit
 
 

 

  ペロシ氏の訪台はインフレ高進やリセッション(景気後退)などに加わる投資家の懸念材料だ。米中の緊張悪化は既に弱い投資家センチメントをさらに弱め、ドルや円などの安全資産には追い風、株式相場にとっては重しになる。

  アナリストやストラテジストのコメントは以下の通り。

中国保有の米国債

BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏

  米国債売りの規模を考えると中国が保有米国債をペロシ氏訪台への報復に利用しているのかもしれないという観測が浮上するのは時間の問題だろう。当社はそうは考えないが、これが真実であっても、短期的な影響は世界のマクロ経済見通しによって薄れるため限定的だと思われる。

デカップリング加速

エドモンド・ド・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、シアドン・バオ氏

  中国政府のこれまでの対応は市場が恐れていたより抑制が効いているので、短期的には「うわさで売ってニュースで買う」展開かもしれない。しかし、中・長期的な影響はより大きい可能性があり、市場は現在これを見落としているかもしれない。米国のアジア太平洋地域への影響強化は必然的に米中のディカップリングを加速させる。

リスクプレミアムの巻き戻し

ナショナルオーストラリア銀行の経済・市場担当ディレクター、タパス・ストリックランド氏

  ペロシ氏の訪台はそれほど地政学的緊張を引き起こしていないようだ。訪問までの間には幾らかの地政学的リスクプレミアムが織り込まれていたが、中国の強硬だが常軌を逸してはいない対応によってこの反転が始まった。この巻き戻しは利回り上昇を拡大させる公算が大きい。

中国の対応

ミラー・タバクのチーフマーケットストラテジスト、マット・メイリー氏

  米国の投資家はペロシ氏の訪台について報復するとの脅迫を中国が実行するとは考えていないようだ。これに対し、中国市場では中国によるより大きな対応が織り込まれており、この結果として中国市場は8月にかなり上昇すると期待できる。

インフレ圧力

オアンダのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏

  ペロシ氏訪台に対する中国の対応はサプライチェーンと需要に影響する可能性があり、インフレ圧力の上昇につながる公算が大きい。リスク意欲にも重しとなり、仮想通貨にも打撃があるかもしれない。

ペロシ下院議長の訪台を受け中国は台湾周辺でミサイル試射を含む軍事演習を実施すると発表
Source: Bloomberg
Taiwan's dollar has slumped this year along with TSMC shares
 
 

原題:Ripples From Pelosi Trip May Take Time to Impact Global Markets (抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE