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「守りの孫氏」顕著、ソフトバンクGの新規投資件数が半減-4-6月

  • 中国企業は2件と前年の6件から減少、一方で日本企業に出資も
  • IPO市場は枯渇、新たな事業機会のための資金減少とアナリスト

ソフトバンクグループの4-6月期(第1四半期)の新規投資が件数ベースで前年同期から半減し、過去5四半期で最低水準になったことがブルームバーグの調べで分かった。孫正義社長が宣言した守りの姿勢が顕在化している。

SoftBank Group President Masayoshi Son Keynote Address at The JCI World Congress
ソフトバンクGの孫社長
Source: Bloomberg

  ソフトバンクGはビジョン・ファンド(SVF)などを通じて世界各国の人工知能(AI)を使ったテクノロジー企業に出資しており、4-6月期は35社、合計で約6600億円相当の案件に関与した。前年同期は70社、約1兆9100億円だった。ブルームバーグが発表資料などを基に集計した。

  孫社長は5月の決算説明会で、前期(2022年3月期)の業績が過去最大の赤字となったことを受け、「今後取るべき行動は徹底した守り」だと宣言。世界情勢が不安定な中で保有資産の資金化や現金化を進め、新たな投資は厳格な基準で行う考えを強調した。今期(23年3月期)の新規投資は「前期の半分か、4分の1」になるとの見通しも示していた。

  投資調査会社レデックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏は「昨年ビジョン・ファンドが資金調達で頼っていたIPO(新規株式公開)はおおむね枯渇している」と指摘。新たな事業機会を得るための資金は減少しており、「今後も出資額の減少傾向は続く」と予想した。

  ブルームバーグのデータによると、6月時点の今年のIPOと株式の追加発行を合わせた調達額は1980億ドル(約27兆円)と1年前と比べ70%減少。このペースが続けば、05年以来の低水準になるという。

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ソフトバンクGが出資した件数と関与案件の合計金額推移

22年4-6月期の件数は1年前から半減

出所:ブルームバーグ

  ブルームバーグの集計によると、地域別では米国、南米、欧州、アジア太平洋の順で出資規模が大きい。4-6月期は中国で2件、273億円相当の案件に参加し、前年同期(6件、1048億円)からは急減した。政府がテクノロジー企業に対する規制や取り締まりを続ける中国市場への不安を反映している。

  一方、AIを使った契約審査プラットホームを手掛けるリーガルフォース(東京都江東区)の137億円の資金調達を主導するなど、前年同期にはなかった日本企業への出資が見られた。

  世界的な金利上昇などに伴う株式市場の波乱を受け、ベンチャーキャピタルもソフトバンクGと同様、出資規模を縮小させており、スタートアップは企業価値の見直しを迫られるなど資金調達に影響が出ている。

  SVF2号が出資したリーガルフォースの執行役員で、野村証券のバンカーだった大木晃氏はブルームバーグの取材に対し「昨年の夏ごろから会話を始めて好感触だった海外投資家の中には、12月ごろになって撤退した人もいる」と説明。バリュエーションの見直しが必要となり、「投資家との目線合わせを優先し、その後調達額の交渉を進めた」と語った。

  ソフトバンクGは8月8日に4-6月期決算を発表する予定だ。

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