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大企業製造業の景況感悪化、原材料高や供給制約が影響- 日銀短観

更新日時
  • 業況判断は9と5ポイント低下、非製造業はサービス中心に13に改善
  • 企業のインフレ期待は上昇、1年後物価見通し2.4%上昇と過去最高

日本銀行が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス9と前回3月調査のプラス14から悪化した。原材料コスト高や中国のロックダウン(都市封鎖)に伴う供給制約の影響を受けた。同非製造業はプラス13とサービス消費を中心に前回のプラス9から改善した。

  製造業では鉄鋼や非鉄金属、はん用機械、生産用機械、自動車など悪化する業種が相次いだ。非製造業は新型コロナの影響が続いていた宿泊・飲食サービスや対個人サービスが大きく持ち直した。

  先行きの業況判断DIは、製造業がプラス10と1ポイント改善、非製造業はプラス13と横ばいになっている。

  企業が想定する消費者物価(CPI)は平均で1年後が前年比2.4%上昇となり、前回調査の1.8%上昇から上振れした。3年後の2.0%上昇、5年後の1.9%上昇とともに、調査を開始した2014年以降で最高。資源価格の高騰や円安の進行を背景に、企業のインフレ期待は上昇している。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス9と前回調査から5ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス13
  • 非製造業はプラス13と4ポイント改善-予想はプラス13
  • 先行きは製造業がプラス10と改善、非製造業はプラス13と横ばいを見込む
  • 大企業・全産業の2022年度設備投資計画は前年度比18.6%増-前回は2.2%増
  • 22年度の為替想定は1ドル=118円96銭と前回(111円93銭)から円安方向に設定

エコノミストの見方

大和総研の久後翔太郎シニアエコノミスト:

  • 大企業製造業の落ち込みは、原材料価格の高騰と中国上海ロックダウンの部品の調達難の影響
  • 為替レートは実勢よりも相当保守的に見ている。この先今の円安水準なら売り上げの上昇余地に寄与する反面、足元の為替レートの高い不確実性を見ている。黒田総裁が指摘する、企業の計画の策定を困難にしていることを垣間見ることができる
  • 販売価格の変化幅は多くの業種でプラス。特に素材系では販売価格が仕入れ価格を上回り、転嫁が進んでいる。製造業全般でその傾向がみられ、転嫁が中小企業でも進んでいる。先行きも業種規模を問わず進んでいく可能性がある
  • 22年度の設備投資は強い印象。21年度は低く発射台下がった影響もあるが、業種規模問わずにストックの不足感が強まっており、設備投資への期待感が持てる

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

  • 円安で交易条件が悪化したため、企業の景況感が悪化している
  • 国内・海外での需給判断は大きく変わっているわけではなく、むしろ改善している。世界景気にしろ国内景気にしろ企業はそんなに自信を失っているわけではない
  • 設備投資は昨年の終盤にオミクロン株の拡大もあり、予定していた設備投資が22年度に先送りされた面がある。少しかさ上げされているとみておいた方がよい
  • 円安は全体で見ればプラスに働く可能性の方が大きい。大企業製造業にとっては円安は明らかにプラスだ
  • 企業は想定為替レートを保守的にみており、為替が大きく振れたからといってそのまま反映される訳ではない。このところの動きが速過ぎたので、行き過ぎではないかと考えている企業が多い可能性はある。ある程度為替が戻ることも前提に事業計画を立てているのではないか

詳細(日銀の説明)

  • 大企業・製造業の業況判断悪化、悪化した全ての業種から原材料コスト高が理由との指摘。中国・上海のロックダウンなどによる受注減や部材調達難、自動車の減産の影響なども幅広く聞かれた
  • 大企業・製造業の先行きについて、改善を予想する業種は部材の調達難解消や自動車減産の影響緩和などを挙げた。悪化を見込む業種からは幅広く原材料コスト高が挙げられている
  • 大企業・非製造業の業況判断改善の要因として、感染症の影響の緩和が広く聞かれた。悪化した業種からは原材料コスト高を挙げる声も
  • 大企業・非製造業で先行きの改善を見込む業種からは、引き続き感染症の影響緩和の指摘。悪化を予想する業種は原材料コスト高や物価上昇の影響を挙げた
  • 設備投資計画は大企業、中小企業、全規模のいずれのベースでも過去平均を上回る計画
  • 円安の影響について明確な指摘はなかったが、製造業で海外事業を展開する企業はプラス効果がある一方、非製造業を中心にコスト上昇による収益圧迫要因になると、双方の見方があった
  • 販売価格判断DIの大企業・製造業のプラス34は1980年5月調査以来、同非製造業のプラス19は90年11月調査以来の高水準
  • 仕入価格判断DIの大企業・製造業のプラス65は80年5月調査以来、同非製造業のプラス43は過去最高。仕入価格判断DIはすでに高水準にあり、先行きは頭打ちの見通し
Bank of Japan Headquarters
日本銀行本店
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
(エコノミストの見方や日銀の説明などを追加して更新しました)
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