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人員削減に採用凍結、今はタイトな米労働市場に鈍化の兆し

  • 新規失業保険申請や賃金の統計、労働市場の鈍化傾向続く可能性示唆
  • 景気は鈍化しつつあり労働市場も減速する-ナティクシス
米首都ワシントンでインフレ対応よりも完全雇用に重点を置いた政策を米金融当局に求める労働者ら(2022年6月14日)

米首都ワシントンでインフレ対応よりも完全雇用に重点を置いた政策を米金融当局に求める労働者ら(2022年6月14日)

Photographer: Tom Brenner/Bloomberg

米労働市場は多くの人の想定以上に力強いが、ほころびは見え始めつつあり、長続きはしないことを示唆している。

  ここ数週間、企業は何万人もの人員削減や採用凍結計画を発表している。その中心はテクノロジーや暗号資産(仮想通貨)、不動産会社で、JPモルガン・チェースなど銀行や証券会社も住宅市場の冷え込みに伴い人減らしをしている。

  消費者需要の鈍化と40年ぶり高水準のインフレ率、米金融引き締めを背景に、他のセクターにもこうした動きは広がりつつある。アルミニウム生産で米2位のセンチュリー・アルミニウムは約600人のレイオフ計画を明らかにした。

  経済指標はこうした傾向が続く可能性を示唆している。製造業での時間外勤務は3カ月連続で減り、2015年以来の長期減少となった。新規失業保険申請件数4週平均は1月以来の高水準。全米で賃金上昇の動きが冷えつつある。

  オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ボブ・シュワルツ氏は「事例証拠が積み重なってきており、労働者は間違いなく交渉力の一部を失いつつある。われわれは転換点にあり、米連邦準備制度の行動がそのプロセスを加速させることになる」と語った。

Cooling Demand

The bulk of US layoffs announced in recent weeks has come from tech and real estate companies

Source: Company releases

Note: Some job cuts represent estimates

  エコノミストが考えなければならないのは、労働市場が減速するかどうかではなく、それがどのくらいのスピードで起きるかだ。

  インフレ抑制に向け、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ポイントの利上げが決定され、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は次回会合で少なくとも0.5ポイントの追加引き上げの構えを示している。

  これを受け、消費者および企業の借り入れ需要が弱まるとして、エコノミストの間ではリセッション(景気後退)入り観測が広がりつつある。パウエル議長自身も先週、リセッションについて、不可避ではないとしながらも可能性を認めた。

  労働市場は現在タイトな状況で、5月の失業率は3.6%と歴史的低水準にあり、同月の非農業部門雇用者数は前月比39万人増と健全な伸びを示した。

  ナティクシス・ノース・アメリカの米国担当シニアエコノミスト、トロイ・ルドトカ氏は「現在、労働市場は力強いものの、悪化しつつあり、それは極めて早いペースで進むだろう」とし、23年初めまでに失業率が少なくとも5%に上昇すると見込む。「今見られているタイトな労働市場は1年前の大幅な成長を受けたものだ。景気は鈍化しつつあり、つまり労働市場も減速するということだ」と語った。

原題:US Layoffs, Hiring Freezes Are Tip of Labor Market Slowdown(抜粋)

 

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