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パウエル議長が目指すインフレ率2%回帰は運次第か-さらなる痛みも

  • 経済の軟着陸シナリオ、頼みの綱は供給改善による急速な物価鈍化
  • 物価抑制、金融政策頼みなら失業率かなり上昇も-供給面の改善重要
上院銀行委員会で証言したパウエル議長(6月22日)

上院銀行委員会で証言したパウエル議長(6月22日)

Photographer: Ting Shen/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今後1年に目にする可能性のある経済と金融政策の道筋は2つある。多少運が良ければ、供給増加に支えられてインフレが落ち着く。そうならなければ、当局はさらに痛みを伴う解決策を実施することも辞さないだろう。

  最善のシナリオでは、米金融当局による前倒しの利上げが住宅や自動車、クレジットカードで購入される耐久消費財といった金利に敏感な分野の需要を徐々に鈍らせる。さらに、供給面の混乱が緩和され、需要とのバランスが回復に向かう。パウエル議長の見通しでは、物価の伸びがかなり急速に鈍る可能性があり、インフレ率を当局目標の2%に向かって押し下げることにつながる。

  パウエル議長は22日の上院銀行委員会での証言で、「需要を減少させることができるなら、インフレは上昇したのと同じスピードで元に戻る可能性はある」と発言した。

Consumer inflation expectations have risen alongside gas prices
 
 

  パウエル議長はFRBが2021年後半にインフレの勢いについて判断を誤ったとも語った。当局の重視する指標によれば、インフレ率は4月時点で前年同月比6.3%の高水準にあったことから、当局は前倒しで政策引き締めに取り組んでおり、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では0.75ポイント利上げを決定した。議長は7月26、27両日のFOMC会合で同様の措置もしくは0.5ポイントの利上げが検討されると話しており、投資家は7月の0.75ポイントの追加利上げをほぼ織り込んでいる。

  FOMC参加者による6月の予測中央値では、インフレ率は2024年までに2%近くに鈍化し、経済成長率は2%をさほど大きく下回ることはない一方、失業率はやや上昇するとの見通しが示された。

  バークレイズのストラテジスト、マイケル・ポンド氏は、FOMCの見通し通りになる可能性はあるとし、運賃の下落や小売店の潤沢な在庫が「供給制約が緩和され始めている」兆候だと指摘。「われわれの基本ケースの予測では、来年にかけてかなりのディスインフレがあるだろう」と述べた。 「しかし、依然として不確実性も多い」と付け加えた。

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  米金融当局者が懸念するのは、ロシアによるウクライナ侵攻後の食品・エネルギー価格への衝撃など、物価ショックが繰り返され、今後の物価トレンドに関する一般の見通しが不安定化しかねない点だ。

  シカゴ連銀のエバンス総裁は23日に記者団に対し、「われわれはインフレ率沈静化で、こうした実体的要因が改善することに期待している」と発言。「金融政策の引き締めだけを頼りにする場合、フィリップス曲線がかなりフラットでインフレ期待も考慮すると、インフレ抑制には失業率がかなり高くなる必要がある」と指摘した。

  それは痛みを伴うシナリオとなる。パウエル議長は上院公聴会で、リセッション(景気後退)は当局の意図する結果ではないとしながらも、その「可能性があるのは確かだ」と述べている。

原題:

Powell’s Path to 2% Inflation Needs Luck or, Failing That, Pain(抜粋)

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