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東芝劇場はキャスト整えてヤマ場へ、「不適切」論争にも幕―28日総会

  • 専門家の間にくすぶるアクティビストの選任は「不適切」の指摘
  • 利害異なる取締役会なら混乱続く可能性もー都立大の松田教授
東芝のロゴ

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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

東芝が28日に開く定時株主総会は、物言う株主(アクティビスト)幹部2人の候補が取締役として受け入れられるかが焦点だ。アクティビストの選任は不適切との声が消えない中、13人の候補全員が可決されたとしても戦略的選択肢を絞り込むという大仕事が残る同社の前途は険しい。

  選任には出席株主の議決権の過半数の賛成を必要とする。13人の候補のうち、アクティビストから新たにファラロン・キャピタル・マネジメントのマネージングディレクター、今井英次郎氏とエリオット・インベストメント・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ナビール・バンジー氏が候補になった。

 

 

  昨年の定時総会では、取締役候補11人のうち取締役会議長を務めた永山治氏ら2人が否決されたほか、1人は選出直後に取締役を辞退し、8人体制となっていた。

そろわない足並み

  2人の候補に対しては、指名委員会委員の綿引万里子取締役が多様性や公平性、バランスの良さに配慮すべきだとして反対を表明している。一方、会社側は綱川智取締役会議長名で、2人が取締役会に参加することで「株主と経営陣はより足並みをそろえることができる」とし、全候補者の選任を推奨するとの声明文を発表した。 

  選任を巡る不安要素はまだある。ファラロン出身で指名委員長を務めるレイモンド・ゼイジ取締役は3月、自身のツイッターで会社が反対する株主提案に賛成表明した。その後、綿引氏らは監査報告書でこの件を「職務遂行上の配慮を欠き、その妥当性に疑義がある」と指摘した。

  取締役会の足並みを乱したゼイジ氏に対する風当たりは、社内外から強まっている。東京都立大学大学院の松田千恵子教授(企業戦略)は、ゼイジ氏の行動について「説明責任を果たしているとは考えにくい。株主からの反対も予想される」と指摘する。

やまない「不適切」

  慶応大学大学院の小幡績准教授(行動ファイアンス)は、企業統治(コーポレートガバナンス)の基本は会社法や商法などの法制度で少数株主の利益を守ることだとし、「ファンドの利益代表者が1人いる時点でおかしい。社外取締役として呼ぶことはあり得ない」と問題視する。

  松田教授も、取締役は特定株主ではなく、一般株主の代表であるべきで、アクティビスト出身の取締役が「一般株主の代弁者として動いてくれるか疑問」と話す。さらに「13人はそもそも人数が多い上、それぞれの利害が大きく異なる。取締役会の混乱は依然続く可能性がある」と警戒する。

  コーポレートガバナンスに詳しく、東芝問題を追及してきた郷原信郎弁護士は今回の選任案を「いい悪いではなく、他に選択肢がなかった」と突き放す。2017年の6000億円の第三者割当増資や米子会社ウエスチングハウスの巨額損失などで痛い思いをしてなお「体質が変わらなかったことに対する当然の報い」という。

  一方、株主の投票行動に一定の影響を与える米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスは、いずれも会社提案の取締役候補13人全員に賛成を推奨する。

そしてヤマ場へ

  東芝は、3月の臨時株主総会で2社分割案と非公開化も含めた戦略の再検討を求める案がいずれも否決されるなど混乱が続く。現在、投資家やスポンサーから株式の非公開化を含む戦略的選択肢について10件の提案を受けており、総会の審判を経た新しい陣容で絞り込みを本格化させる。

  松田教授は、経済安全保障の観点から防衛や原子力事業が重視されるなど「ビジネス環境的には頑張らないといけないタイミングで、うまくいけば東芝にとって有利な環境にもなっている。お家騒動に明け暮れているのは、もったいないでは済まされない」と指摘した。

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