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KKR傘下のマレリが簡易再生へ移行、事業再生ADR決議されず

更新日時
  • ADR枠組みで簡易再生、8月にも資本再編完了-事業継続支障なし
  • 負債総額1兆円超、法改正で法的整理でも混乱は回避できる見通し
The Marelli Corp. headquarters and R&D Center in Saitama.

The Marelli Corp. headquarters and R&D Center in Saitama.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)での経営再建を目指していた大手自動車部品メーカー、マレリホールディングス(非上場)は、24日の第3回債権者会議で、株主である米投資ファンドKKRをスポンサーとする再建案に債権者全員からの合意が得られなかったことから、事業再生ADRと同じ再生計画の成立が可能な簡易再生の手続きに移行すると発表した。

Marelli Headquarters As The Company in Talks With Lenders on Debt Reorganization
マレリ本社(さいたま市)
Source: Bloomberg

  東京地裁に同日、民事再生手続きの開始を申し立てたことも明らかにした。同社広報担当の渡辺宏氏によると、今後、民事再生の一種である簡易再生手続きにより早期に再生計画を成立させ、8月上旬には計画に基づき資本再編などを完了する予定だという。

  ADRは経営が悪化した企業が、事業を継続しながら当事者間の合意に基づいて金融債権の猶予や減免を受けて再建を図る手続き。経済産業省の資料によると、ADRの成立には債権者全員の同意が必要で、1人でも同意しなければ民事再生法や会社更生法の適用など法的整理に移行し、裁判所の管理下で再建や清算の手続きに入ることになる。

  だが、昨年施行された改正産業競争力強化法では、事業再生ADRが不調に終わっても、金額ベースで5分の3以上の債権者が再生計画に同意した場合には、民事再生の一種である簡易再生など法的整理に移行する際にADRで協議されていた再生計画が考慮されるとの規定が追加された。

  渡辺氏によると、この日の採決では、90%以上の債権者から同意が得られたため、これまでに協議した再建案がそのまま適応される可能性が高いという。

  同氏は、簡易再生手続きの対象になるのはマレリHDに融資する金融機関のみで、国内外の事業会社などは含まれないことから顧客や取引先に影響が出ることはないと述べた。金融機関以外の取引先への支払いなどを含め、事業の継続に支障はないとしている。

  KKRは、簡易再生手続きに移行するために求められた基準を上回る支持を得られたという結果を喜ばしく思うとのコメントを発表。手続き期間中も従来通り事業を運営できるよう、必要に応じて追加の支援を行う用意は十分にあるとした。

  日産自動車の主要サプライヤーだったカルソニックカンセイを前身とするマレリは、新型コロナウイルス感染拡大後の自動車生産停滞などの影響で業績が大幅に悪化。金融機関に対する負債額は1兆1000億円を超える規模となり、3月に事業再生ADR手続きを申請。5月に現在の株主であるKKRをスポンサーとする再生計画案を公表して、債権者の同意取り付けを目指していた。

  マレリが取引行に要請していた金融支援は、債権放棄のほか一部債務の株式化(DES)も含めて総額4500億円で、負担額は融資割合に応じて均等に配分するプロラタ方式としていた。KKRは既存出資分の約2000億円を全額消却した上で、6億5000万ドル(約878億円)の第三者割当増資を引き受ける予定だった。

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