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ソフトバンクG孫氏に厳しい質問も、今年の株主総会は攻守逆転か

更新日時
  • 「個人投資家の信頼が崩れてきている」とアナリスト、回答力を注視
  • 株主が同社のガバナンスをただす可能性、孫社長への権力集約を懸念

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ソフトバンクグループは24日に定時株主総会を開く。株価の低迷にいらだつ個人投資家に孫正義社長が強く反論したのは1年前の光景だ。過去最高の純利益を計上し、「少し長い目で見ていただきたい」と諭す余裕も見せたが、今年は一転して過去最大の赤字を計上し、一段の株安に見舞われた孫社長は守勢に立たされる可能性が高まっている。

SoftBank CEO Masayoshi Son Presents Third-Quarter Results
ソフトバンクGの孫社長
Source: Bloomberg

  株式調査会社ライトストリーム・リサーチのアナリスト、加藤ミオ氏は孫社長が株主からの厳しい質問に直面すると予想。具体的にはビジョン・ファンドの収益性や英半導体設計会社アームの新規株式公開(IPO)の進捗(しんちょく)状況、企業統治(コーポレートガバナンス)、孫社長の後継者問題、今後の自社株買い計画などが挙げられる。

  新型コロナウイルス感染症や金利上昇を背景に世界的な株式市場の波乱が続き、ビジョン・ファンドの投資先企業の評価は大きく目減りした。この影響で、ソフトバンクGは前期(2022年3月期)決算で過去最大となる1兆7080億円の純損失を計上。孫社長は5月の決算説明会で、ファンドの投資規模を今後は半分か4分の1にする方針を示し、守りを重視する姿勢を強調した。

ソフトバンクG孫社長が守備固め強調、世界株波乱で過去最大赤字

  ソフトバンクG株の22日終値は5025円。昨年11月に1兆円の自社株買い計画を発表し、断続的に実施しているものの、昨年の株主総会が実施された21年6月23日時点と比べると、35%安い。

昨年の株主総会以降のソフトバンクG株の推移
 
 

  ライトストリームの加藤氏は、ソフトバンクGに対する「個人投資家の信頼が崩れてきている」とみる。孫社長に「現状を克服する計画があれば、株主にしっかりと説明するだろう」とした半面、株主からの厳しい質問に正面から答えなければ、「それは解決策がないことのエビデンス(証拠)だ」と指摘した。

  ソフトバンクGでは既に保守的な運用にかじを切っている。関係者への取材によると、今年ビジョン・ファンドが参加した出資案件規模は、50以上の資金調達ラウンドで平均1億-2億ドルとなっており、1号ファンドの9億ドルと比べて小さい。1-3月期の出資額は25億ドルと、直近ピークだった昨年4-6月期(第1四半期)の209億ドルから減少している。

目利き力を磨け

  今回の総会で社外取締役を退くリップブー・タン氏は10日に公表したメッセージで、ソフトバンクGは投資会社として米中関係の悪化やインフレ、金利の上昇、IPO市場の減速などの課題に直面し、「キャッシュフローと手元流動性を慎重に管理しなければならない」と語った。借り入れ資金を投資に充てており、特に金利の上昇やIPO市場の低迷に細心の注意を払う必要があるという。

  また、ビジョン・ファンド2号はアーリーステージの企業に特化し、ポートフォリオの多様化も進んでいるが、同様の戦略を取るベンチャーキャピタルやヘッジファンドも多く、ソフトバンクGは「投資の目利き力をさらに高めていく必要」があると課題にも言及した。

  ビジョン・ファンドが4月に80億円の資金調達を主導した人工知能(AI)内視鏡医療AIメディカルサービス(東京都豊島区)は、ソフトバンクGの目利き力が試される案件だ。

  多田智裕社長はブルームバーグの取材で、2月に孫社長とオンライン会議システムのZoom(ズーム)を使って30分間面談し、プレゼンテーションの途中でAIに関する鋭い質問や医学界の常識を覆すビジネスモデルの提案を受けたことを明らかにした。孫社長は面談の途中、AIメディカルには多田氏が当初求めていた出資金額の2倍に当たる100億円の価値があると話したという。

  23日にはAIを使った契約審査プラットフォームなどを手掛けるリーガルフォース(東京都江東区)がビジョン・ファンドを筆頭に、米ゴールドマン・サックス・グループなどから約137億円の資金を調達すると発表。ビジョン・ファンドによる国内スタートアップへの出資は4社目になる。

ガバナンス、後継者

  ライトストリームの加藤氏は、総会でガバナンスの質問が出ると予想する。「あまりにも権力が孫社長に集約されている問題があり、会社は適切に意思決定されていると説明するが、株主は説得されてない」ためだ。社外取締役のタン氏は、孫社長は「リーダーシップを発揮し続けると思うが、日々の経営の多くは彼のナンバー2が進めても良い」と後継者育成の必要性を指摘している。

  新型コロナウイルスの感染予防のため、総会は24日午前10時からオンライン中心で開催され、東京都港区の竹芝本社会場に来場できる株主は150人に限定されている。昨年の総会では、孫社長は約98%の賛成で取締役に選任された。

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