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弱気相場を耐え抜く知恵を伝授-感情コントロールと分散投資が鍵

  • まずは大きく深呼吸しよう、次いで何がリスクか評価してみることだ
  • 全てか無かの決断下さず、天才になりたければポジションの半分売却

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米国のS&P500種株価指数が最高値から20%超下げ、弱気相場入りした。引退後の人生に備える資金を増やしてくれた株価上昇は今年に入って途絶えがちになったが、今月13日に突然幕を下ろした。さて今後どうすべきだろうか。個人投資家には新たな指南書が必要だ。

【米国市況】S&P500弱気相場入り、利回り急伸-ドルは134円台半ば

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Illustration: Michael Kennedy for Bloomberg Businessweek

  相場全体を押し上げるのにジェット燃料の役割を担っていた大型テクノロジー株は、S&P500種が終値ベースで最高値を付けた1月3日以降、激しく下げてきた。メタ・プラットフォームズは50%超、アマゾン・ドット・コムは39%、マイクロソフトとアップル、アルファベットの3銘柄はそれぞれ25%前後も値下がりした。仮想通貨にまで範囲を広げれば、投資家の痛みは増し、われわれは皆、知らず知らず感情の起伏が激しくなっている。

S&P 500 Bear Markets Since 1928 |
 
 

  投資家の行動を左右する感情というのは、もうけよりも損失をより切実に感じるものだ。S&P500種は過去5年間では配当を含め70%近いプラスのリターンを維持しているのだが、ピークから20%下げて弱気相場入りした途端、そんな事実もたちまちかすんでしまいがちだ。もし、何年間も分散投資を着実に進めてきたのなら、自身を現時点で強く責める必要はない。弱気相場への最善の対応はこれまでの投資プランを堅持することかもしれない。毎月の給与の一部を投資に回す行動を続けているのなら、今は少なくとももっと安く株式を購入していることになる。

  それでも居心地の悪さは感じるかもしれない。だがその感情も自身のポートフォリオとそこに内在するリスクをじっくり検証する行動につながるなら、役立つことになる。リスクテークを続けて本当に大丈夫なのか、強気相場だけでなく、別のサイクル局面でも奏功しそうなのか、自らに問うには良い機会だ。

  まずは、あるセクターだけ、あるいはテスラなど注目銘柄で構成する特定グループに依存し過ぎていなかったか自問してみよう。アリソン・ウェルス・マネジメントのデーブ・アリソン氏は投資家について、資金を投じた「銘柄は基本的に値上がりするのみとみて、そのポジションを固め、あとは見て見ぬふりをするものだ」とした上で、「その過程で利益を確定しないのは大きな間違いで、株価が30-50%下げると後悔する」と述べた。   

  こうしたポジションを抱えた顧客に対してアリソン氏は、ポートフォリオの中で投資先企業と関連させたい最大額をドル建てで設定させ、実際の株価がその額を上回れば売却し、別の何かに投資分散する戦略に同意してもらう。理論的にはグロース株が上昇した際、利益を確定し、その部分を強気相場の中で出遅れていたバリュー株投資に回せたはずだ。この方法は現在うまくいっているセクターに応用できるかもしれない。

  市場の長期的な不透明感に対応しボラティリティーを減らす一つの方法は「全てか無か」の決断を下さないことだ。シエラ・インベストメント・マネジメントの共同創業者、デービッド・ライト氏は、どうするか迷う投資家は特定の銘柄にしがみつこうとするものだとした上で「天才になりたければ、ポジションの半分を売れ」と助言する。「相場が回復すれば、全て売却していたわけではないので天才的だし、相場が下げ続けても天才。持ち分の半分がこれ以上下がらないよう対応したからだ」と説明した。

  次は分散投資を確実にすることだ。株式と債券どちらも保有することはポートフォリオを安定させる上で重要だ。だが、今は株式の弱気相場の中で債券も下げている。この痛みは投資適格級債券を直接保有する投資家ならば、現時点での損失を見なければ苦痛は和らぐかもしれない。アトラス・フィデューシャリー・ファイナンシャルのローラ・マッティア氏は「満期になれば額面満額が受け取れる。だから、本当に下がったわけではない」と話す。デフォルト(債務不履行)がなければ、利息も得られる。

  債券ファンドに資金を投じている場合は現時点での損失がより明確に分かる。ファンドのリターンに反映されるからだ。しかし、価格は下がるが利回りは超低水準から上がっている。これは朗報で、分散投資先に債券を選ぶ根拠を強める。

  債券投資でインフレヘッジとして強いのは米貯蓄国債のシリーズI。購入後、少なくとも1年間は売却できず、5年を待たずに現金化すれば3カ月分相当の利息を失うが、インフレ連動債であるシリーズIの9.6%という利率に匹敵する投資先をこの時期に見つけるのはなかなか難しいだろう。変動金利の部分は6カ月ごとに設定される。一つ注意すべきなのは購入上限が毎年あることだ。

利率7%強、米貯蓄国債を最大限に生かすには-購入待てば妙味低下も

  長期的な分散投資先としては不動産投資信託や海外の債券・株式が考えられる。ただ、市場が荒れている年に安全な避難場所はない。それでも幅広く投資すれば、お値打ち資産を獲得し将来的な全体のリターン改善のチャンスを増やせるかもしれない。

  相場下落やインフレへのヘッジ手段になるかもしれないともてはやされた資産クラスの一つは暗号資産(仮想通貨)だが、安全資産どころかリスク資産のように取引され、現実はかなり違うことが判明している。   

ビットコイン一時10%下落-米利上げ拡大懸念、仮想通貨売り止まらず

  仕事を持つ顧客に資産運用会社アリソンが勧めるのは、3-6カ月分の流動性を現金で持つことだ。引退していれば、年収1年分相当がいいという。銀行預金に限らず、ホームエクイティーローンや終身型生命保険の貸付制度などでもよい。

  もっと簡単なのは金利が上がり始めている貯蓄口座だ。ゴールドマン・サックス・グループの消費者向け銀行「マーカス」は最近、年利率を0.85%に引き上げた。バークレイズなども同様の動きに出ている。その意味で、マネーマーケットファンド(MMF)も選択肢の一つだろう。    

原題:

The Key to Surviving a Bear Market Is Managing Your Emotions(抜粋)

(原文はブルームバーグ・ビジネスウィークに掲載)
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