メッセージアプリ使用には会社を吹き飛ばす「爆弾」-連邦地検検事正
Greg Farrell、Chris Dolmetsch-
犯罪の証拠探しではメッセージアプリが標的に、企業は実態把握を
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検事正、富への近道に「取り残されたくない」との空気が気がかり

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ウォール街の悪事を摘発する連邦検察当局のトップは、犯罪の証拠を探す上でシグナルやワッツアップといったメッセージアプリの利用が標的になるとして、銀行やヘッジファンドは従業員の利用に目を光らせるべきだと述べた。
ニューヨーク南部地区の連邦地検のダミアン・ウィリアムズ検事正(41)は、ブルームバーグとのインタビューで「私がヘッジファンドのトップだとして、従業員が暗号化されたメッセージや、個人の端末を使ってビジネスのやりとりをしているとすれば、それを把握しておきたいと考えるだろう」と発言。「そこには会社全体を吹き飛ばしかねない爆弾があるからだ」と述べた。
ウィリアムズ氏はインタビュー中、金融企業がコンプライアンス(法令順守)を強化する必要性を繰り返し訴えた。そうすることで、政府より先に経営陣が異変を把握し、理想的には違法行為を自主的に申告することが可能になるだろうと述べた。
ウィリアムズ氏が率いる連邦地検はこの2カ月、ホワイトカラー犯罪に絡んだ大型事件を2件取り扱った。いずれにもメッセージアプリの利用という特色があった。
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4月にはアルケゴス・キャピタル・マネジメントの創業者、ビル・フアン被告と最高財務責任者(CFO)のパトリック・ハリガン被告が市場操作や詐欺罪などで起訴されている。
かつて同連邦地検で証券詐欺部門を率いたウィリアムズ検事正は、市場のフロスや混乱を背景にこうした犯罪は増えるとみている。「検事として気がかりなのは、人々が熱狂し、富を得る近道があると信じ、取り残されたくないという空気が充満している状況だ」と話し、ウォール街も同様に気がかりであってしかるべきだと述べた。

原題:Wall Street’s Top Cop Says Texts Can Hold a Firm-Ending ‘Bomb’(抜粋)