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ハゲタカと呼ばれた業界も様変わり、カーライルが日本で女性積極登用

  • 「女性に選ばれる業界に」投資専門人材での比率は来年末で30%目標
  • 第一子身ごもり、上司の「帰ってきてくれる?」に安心感-女性幹部

かつては「ハゲタカ」とも呼ばれ、男性優位という印象のプライベートエクイティー(PE)ファンド業界が変化しつつある。米投資会社カーライル・グループは、日本で投資案件を担当する専門人材の女性比率を現在の17%から2023年末までに30%に高める方針だ。投資先企業の女性取締役登用も支援する。

  「採用したくても女性の志望者が少ない。危機感を持っている」。カーライル日本代表の山田和広氏(59)はそう打ち明ける。日本の労働人口が減少する中で、優秀な女性に選ばれる業界になる必要があると考え、20年10月から女性採用の取り組みを強化。メンター制度や意識改革を促す社内研修も始めた。

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山田和広氏
Source: Carlyle Japan

  そのかいもあり、従業員の女性比率は45%から現在は50%に上昇。中でも受付などを除く専門人材では12%から24%と倍増した。山田氏は「特にまだ低い投資専門チームの女性比率を23年中に30%まで増やしたい」と話す。人数の詳細は開示していないが、日本拠点の従業員数は現在約50人。

  日本在勤の女性で唯一、マネージング・ディレクターを務め、機関投資家からの資金調達に携わるインベスター・リレーションズを担当する三井麻紀氏(54)は、02年に入社して以来、子供2人の育児や両親の介護などプライベートと両立させながら働き続けてきた。「カーライルで働けて幸せだった」と振り返る。

多様な生き方を支援

  三井氏が社会に出たのは、女性総合職がまだ珍しかった時代。日本企業の役員との面談では、男性との名刺交換を終えた顧客が目の前で回れ右をし、自分だけ名刺をもらえないこともあった。山田氏が「なかなかタフなところがある」と語る業界だが、ダイバーシティー(多様性)先進国の米国企業で、多様な生き方を応援してくれる文化が自分に合っていると三井氏は感じたという。

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三井麻紀氏
Source: Source:Carlyle Japan

  カーライル入社後に1人目を妊娠し、職場復帰ができるのかと人知れず悩んだ。当時の上司だったデービッド・ルーベンスタイン共同創業者に電話で打ち明けると「それで、帰ってきてくれるの?」と温かい言葉が返ってきた。それが心の支えになったという。現在は自身の経験を生かし、山田氏らとともにDEI(多様性・公平性・包摂性)担当としても働きやすい環境づくりに奔走している。

  DEIの取り組みは投資先企業にも及ぶ。カーライルは3月に世界の投資先企業の最高経営責任者(CEO)がダイバーシティー導入に向けたリソースを共有できる枠組みを創設。CEOらが参加する年次会合や従業員向け講演会、研修プログラムの提供などを実施している。

  三井氏は「ダイバーシティーは経営層が腹落ちしないと絶対に広がらない」と説く。日本の講演会ではまず、国内投資先10社の経営層を招待し、2度目は従業員にも対象を広げ多くの参加者を集めた。

  各社に女性登用の必要性を伝えてきたこともあって、女性取締役を採用する企業は徐々に増加。女性取締役が1人以上いる投資先は20年末時点の3社から、ことし6月末までに10社全てに広がる見通しだという。

「楽しい仕事」家庭の支えにも

  他のグローバルファンドもDEIへの取り組み強化に動いている。KKRジャパンでは全社員に占める女性の比率は約50%、投資専門チームでも25%に達した。平野博文社長は「DEIはKKRにとってのコアバリューであり、行動規範を通じて企業文化に組み込まれている」とコメントした。

  長い人生、家庭での心配事が重なる時もある。三井氏は、逆に「仕事があったから乗り切れた」と実感している。母親の介護に子供の病気。後ろ髪を引かれる思いで出社すると、米国仕込みの「痺れるほど優秀な」仲間との刺激的な時間が待っていたという。

  三井氏はPE業界で働く醍醐味(だいごみ)について、投資家から集めた資金が投資先に回り、どのように役立ってまた投資家に還元されるかまで、全てを見届けられることだと語る。「とても楽しい仕事なので、若い女性にぜひ知ってほしい」

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