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FRB、ボルカー時代と同程度の政策措置が必要か-サマーズ氏ら推測

  • 1980年6月当時のインフレ率、調整を加えると公式統計より低めに
  • 今必要とされているディスインフレは大きな痛み伴う恐れ-論文

第2次世界大戦後に公表された米消費者物価指数(CPI)について、サマーズ元米財務長官らエコノミストのグループが、住宅関連を中心に現代の支出パターンを適用して再計算したところ、現在のインフレ率は従来の想定よりも1980年に記録したピークに近いとの新たな分析結果を得た。

  サマーズ氏らはこれを基に、米金融当局がインフレ率を目標の2%に沈静化させるために必要な政策措置は、当時のボルカー連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で講じられたのと同程度となる可能性を示唆するものだとしている。

Former U.S. Treasury Secretary Larry Summers Speaks At ECNY Breakfast
サマーズ元米財務長官
Photographer: Mark Kauzlarich/Bloomberg

  ボルカー議長が主導したインフレ退治は失業率の大幅悪化につながり、パウエル議長ら現代の当局者はそうした犠牲を伴うことなく高インフレを減速させようとしている。だが、今回示された分析はそうした取り組みにとって懸念すべき内容と言えそうだ。

  全米経済研究所(NBER)のホームページに掲載された論文によれば、変動の大きい食料品とエネルギーを除くコアCPIの上昇率は公表済みの統計で80年6月に前年同月比13.6%に達したとされていたのに対し、新たな調整を加えると9.1%と推計されることが示された。

  この推計に基づけば、ボルカー議長が80年代初めの果敢な金融引き締めで達成したコアCPIの押し下げ幅は公式統計の11ポイントよりも小幅な5ポイントとなり、物価目標実現のために現代の金融当局に求められる措置は深刻なリセッション(景気後退)を招いた当時の規模に近くなることを意味する。

  4月のコアCPIは6.2%上昇。10日に発表される5月のコアCPIはエコノミスト予想中央値で5.9%上昇となっている。なお、米金融当局はCPIよりも平均で幾分小さな数字となる個人消費支出(PCE)価格指数を物価目標の目安にしている。

  サマーズ氏らは論文で、「現代においてコアCPI上昇率を2%に再び落ち着かせるには、ボルカー議長の下で成し遂げられたのと同程度のディスインフレが必要になりそうだ」との見解を示した。   

  主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現在、0.75-1%のレンジ。一方、80年代前半のボルカー議長時代の金融引き締めでは、約10ポイント引き上げられて一時20%に達していた。

  エコノミストのグループは「過去においてCPIの算定方法に複数の重要な変化があり、時期によってインフレ率の比較にゆがみが生じることになった」と指摘。その上で、50年代から80年代にかけてのデータを見直すと、「現在のサイクルで、コストの小さいディスインフレについて過度に楽観的な予想は禁物であることが分かる。今必要とされているディスインフレは歴史的な基準に照らし大きいものだ」と強調した。

原題:US Inflation Nearer 1980 Peak Than Thought, Summers Group Says(抜粋)

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