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ドイツ銀傘下のDWS、決まっていたCEO更迭-家宅捜索は引き金か

  • ドイツ銀首脳は9日の株主総会前のブアマン氏交代を計画していた
  • グリーンウォッシュ疑惑巡る家宅捜索で実施が迅速に前倒しされた

フランクフルト本社を警察が5月31日午前に家宅捜索しようとしているとは、ドイツ銀行の資産運用部門DWSグループのアソカ・ブアマン最高経営責任者(CEO)は知らなかった。

  だが警察が本社に到着すると、CEOとしての時間がもはや尽きたとすぐにはっきりした。サステナブル投資商品でうわべだけ環境に配慮しているかのように装う「グリーンウォッシュ」疑惑の捜査のため、警察官と検察官が建物に入る映像がメディアを通じて拡散した。

  世間にやかましく取り沙汰された数カ月を経て、ブアマン氏(56)が面目を保ちつつ、うまく退陣する可能性はそれで消滅した。

  事情を直接知る複数の関係者によれば、ドイツ銀の首脳陣は、9日のDWSの年次株主総会前にブアマン氏とドイツ銀のコーポレートバンク責任者シュテファン・ホープス氏を交代させるプランを一方で準備しながら、ブアマン氏と話し合いを行っていた。

  警察による家宅捜索でプランの実施は迅速に前倒しされた。数時間後に退職の条件が確定し、現地時間6月1日午前4時(日本時間同11時)の数分前に退任が公表された。

  ドイツ銀のクリスティアン・ ゼービングCEOの盟友となり、欧州有数の資産運用会社で顧客資産約1兆ドル(約130兆円)の運用管理を統括する立場まで最終的に昇り詰めたブアマン氏の20年余りのキャリアは、あっけない退陣で幕を閉じた。

  慎重を要する内容を理由に取材に応じたドイツ銀とDWSに近い関係者10人余りが匿名を条件に証言した。DWSとドイツ銀の広報担当者は、いずれもコメントを控えている。

 

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アソカ・ブアマン氏
Photographer: Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg

  DWSのCEOとしてのブアマン氏の終わりが、フランクフルト本社の小さなミーティングルームで昨年2月に始まったことは、ほぼ間違いない。

  サステナビリティー責任者として前年に採用したばかりの米国人女性、デジレー・フィクスラー氏の向かいに座ったブアマン氏は、時に激しいやりとりを交わし、フィクスラー氏に解雇されると告げた。

  DWSのESG(環境・社会・企業統治)能力に関するうたい文句と内部手続きの紛れもない矛盾を社内ではっきり主張してきたフィクスラー氏は2週間後に解雇されたが、DWSがブアマン氏の下で、資産選定に当たりファンドマネジャーがESG要因をいかに考慮しているか投資家に誇張し続けた証拠をまとめた。

  フィクスラー氏の主張は米国とドイツ当局の調査および捜査に発展し、株価の押し下げ要因となった。同社は疑惑を一貫して否定し、5月31日の家宅捜索後もESGの情報開示ルールを順守していると繰り返した。

  公私混同を疑われる資金のやりとりが過去に問題となったブアマン氏について、私的な電子メールアカウントをビジネス目的で利用し、業界ルールに違反していた疑いが今年の初めに浮上すると、同氏の頭上に立ち込める雲は暗さを増した。

  それでもDWSの悪いニュースの害がブアマン氏に及ばない限り、ドイツ銀の経営陣は同氏を更迭しない方針だった。しかし、グリーンウォッシュ疑惑が投資家の懸念を引き起こす中で、ドイツ銀の5月の年次株主総会にかけ、そのムードも徐々に変化し始めたという。

原題:

DWS Chief’s Days Were Already Numbered When Police Showed Up(抜粋)

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