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米国債市場は新たな混乱の可能性警戒-FRBバランスシート圧縮

更新日時
  • 幾人かの当局者「予期せぬ影響」のリスク指摘-FOMC議事要旨
  • QTが「順調に進めば」MBS売却検討も適切に-幾人かの当局者
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington.

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington.

Photographer: Joshua Roberts/Bloomberg

米連邦準備制度は6月1日から、8兆5000億ドル(1080兆円)規模の債券ポートフォリオの圧縮を開始する。当局の金融引き締めキャンペーンとしては利上げに続く次のステージ。最も慎重を要するものであり、米国債市場は新たな混乱の可能性を警戒している。

  25日に公表された3、4両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨では、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)のランオフ(償還に伴う保有証券の減少)計画について、「幾人かの」当局者が市場に「予期せぬ影響」をもたらすリスクを指摘していたことが示された。

Swearing In Ceremony For Confirmed Federal Reserve Officials
左からFRBのパウエル議長、ブレイナード副議長、ジェファーソン理事、クック理事(5月23日)
Photographer: Al Drago/Bloomberg

  米利上げは数十年ぶりの急ピッチで進められる軌道にあり、市場は既に混乱に見舞われ、投資家は当局の量的引き締め(QT)への準備を整えつつある。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長自身も4日の記者会見で、QTのプロセスには不確実性の要素があると警告した。

  TDセキュリティーズのグローバル金利戦略責任者、プリヤ・ミスラ氏は「QTはまさに目立たない形で進められる想定であるが故に、その危険度は増す」と指摘。インフレ調整後の実質利回りを押し上げることで、金融状況の引き締まりが強化されて景気減速につながるだろうと話した。 

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  パウエル議長はQTについて、金融引き締め策において「重要な役割」を担い、金融状況を「より中立的な」設定に戻すのに役立つと説明する。市場参加者はストレスが想定される複数のシナリオを列挙している。主な内容は次の通り。

利回りへのインパクト

  TDのミスラ氏の説明のように、QTの結果、期間が長めの金利の押し上げにつながる可能性がある。米10年債利回りは24日の時点で2.72%前後と昨年末の1.51%から上昇。今月の早い段階では一時3.20%と2018年以来の高水準を付けていた。

  利回りは既にピークに達したとの見方もあるが、QTのインパクトを正確に測るのは困難だ。当局は17-19年の前回の場合よりも速いペースでポートフォリオ圧縮を進める方針であり、ランオフの上限は開始から3カ月かけて月間最大950億ドルと、前回(同500億ドル)の2倍近くに拡大される。

  今回、当局者に多少の安心を与えているのは昨年、セーフティーネットとして整備された常設レポファシリティー(SRF)だ。米国債などを対象とした翌日物レポを日々実施することで、19年に生じたような短期市場の混乱の再発を防ぐことが期待されている。

  シカゴ連銀のエバンス総裁は18日、ニューヨークのブルームバーグ本社でのインタビューで、SRF設置を踏まえれば「バランスシートの規模は恐らくそれほど大きくなくても良いのではないか」とコメント。ただ、「それが実際にどう機能するかは分からない」とも述べた。

トレーディング環境の悪化

  既に緊迫した状態にあるトレーディング環境がQTによって一段と悪化するのではないかと心配する声もある。米国の大手銀行は資本要件もあって、ここ数年米国債マーケットメーキングの能力増強を控えており、そのことが利回りの大幅な急変動の一因となった。

  米財務省はトレーディング環境の問題に対処する取り組みを主導しているものの、まだ詳細な計画は示されていない。

外国勢による購入の欠如

  前回のQTとの顕著な相違は国際情勢だ。欧州中央銀行(ECB)など他の主要国・地域の中銀も米国と同様に引き締めに向かっており、債券への世界的な需要が抑制されて利回り上昇のもう一つの要因となる可能性が考えられる。  

MBSを巡るリスク

  一部で懸念があるのは当局によるMBS売却の可能性だ。パウエル議長はMBS元本償還金が月間の圧縮上限を下回る可能性に言及した。当局者が判断を下せば、売却に道を開くことが想定される。FOMC会合議事要旨によれば、幾人かの当局者はQTが「順調に進めば」、MBS売却を検討するのが適切になるだろうとの見解を述べていた。

  TDのミスラ氏はMBS売却の場合、QTの効果は増強されるとみている。

Fed's Treasury and agency MBS holdings set to fall
 
 

原題:

Treasuries Tread Uncertain Path Amid Fed’s Bond Runoff Plan (3)(抜粋)

(FOMC議事要旨の内容を追加して更新します)
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