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「IPEF」とは何か、中国の影響力にどう対抗するのか-QuickTake

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US President Joe Biden speaks during a news conference with Japan's Prime Minister Fumio Kishida.

US President Joe Biden speaks during a news conference with Japan's Prime Minister Fumio Kishida.

Photographer: Nicolas Datiches/Sipa

バイデン米政権は23日、13カ国による新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」発足に向けたプロセスの立ち上げを正式に発表した。米国は2017年に環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱し、中国が主導する形で今年発効した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定も傍観していた。IPEFについては、実際に何が実施されるのか、またアジアで影響力を高めようとする米国と中国の取り組みにどう影響するのか疑問が残っている。

バイデン米政権、新経済圏構想IPEF立ち上げを表明-中国に対抗

1. IPEFとは何か

  アジアにおける中国の経済的影響力に対抗するバイデン政権の取り組みの鍵となるもの。IPEFは4つの柱で構成される。サプライチェーン、クリーンエネルギー・脱炭素・インフラ、税制・反汚職、公正かつ強靱(きょうじん)な貿易の4つだ。バイデン政権は国境をまたいだデータの流れなど、デジタル問題も含めるよう取り組んでいる。しかし詳細は明確になっておらず、関税の引き下げや米国市場へのアクセス改善は含まれないと米政府は強調。IPEF立ち上げに関する共同声明には「この取り組みを通じ、地域内の協力、安定、繁栄、発展、平和に貢献することを目指す」と書かれている。

2. 参加国は

  米国以外では、オーストラリア、ブルネイ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムが「最初のパートナー」となる。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は22日、発足時に台湾は参加しないと説明。台湾外交部(外務省)はこの発言に遺憾を表明した。

Growing Weight

China increasingly dominates South-East Asian nation's trade

Source: International Monetary Fund

3. 米国内の反応は

  米議会の一部からは、IPEFには中身がないとの批判が出ている。民主、共和両党上院議員は3月の公聴会でバイデン政権の貿易政策を批判し、タイ米通商代表部(USTR)代表には新たな協定を交渉する意欲が欠けているとやり玉に挙げていた。米国最大の財界ロビー団体である米商業会議所のトップも今月に入り、バイデン氏の貿易政策は「内部審査に明け暮れている」と痛烈に批判した。

4. 中国の反応は

  中国の王毅外相は22日の声明で、米国の取り組みは「最終的に失敗する運命にある」と一蹴。中国外務省は米国の戦略について、「『自由と開放』の旗印の下にあるが、中国を封じ込めるための『小さなサークル』を作ることに躍起になっている」と述べた。

5. RCEPはどうなったか

  今年1月に発効したRCEPは大まかに言えば、東南アジア諸国連合(ASEAN)を含む参加国間で関税引き下げや貿易障壁の削減を目指す取り組みだ。参加国は当初16カ国の予定だったが、2019年にインドが撤退して15カ国となった。安価な中国製品が大量に流入する事への懸念もインドにはあった。米国はRCEPから意図的に除外されている訳ではなく、まずASEANとの自由貿易協定(FTA)を結び、その後に参加を申請する必要がある。地域の貿易における中国の優位性はRCEPで一段と浮き彫りになった格好だ。

6. RCEPとはどう違うか

  TPPもしくは米国主導の他の貿易協定とは異なり、RCEPは参加国に対し、経済自由化や労働者の権利保護などの措置を義務づけていない。トランプ前政権時代に商務長官を務めたウィルバー・ロス氏はRCEPについて、TPPのような範囲を持たない「非常に程度の低い協定だ」と呼んだ。しかし、RCEPの発効は米国の影響力低下を示しており、広大なアジアで米企業は一段と難しい競争を迫られる可能性もある。RCEPとはどう違うのか。それを判断するための十分な情報はIPEFにはまだない。

relates to 「IPEF」とは何か、中国の影響力にどう対抗するのか-QuickTake
 
Source: Bloomberg Economics

Understanding IPEF and How It Counters China’s Clout: QuickTake(抜粋)

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