世界的なリスク資産売却、まだ始まったばかり-市場関係者の見方
Abhishek Vishnoi、Ishika Mookerjee-
コロナ禍や供給問題、インフレに加えスタグフレーションのリスクも
-
景気減速の織り込み「そのごく初期段階でしかない」-ベネット氏

Traders on the floor of the New York Stock Exchange.
Photographer: Michael Nagle/Bloombergインフレ加速と成長減速を背景に世界的なリスク資産の売却は始まったばかりだ。一部の市場関係者はそう確信している。
一段とタカ派的な米金融当局やロシアのウクライナ侵攻がもたらすリスク、さらに中国での厳しい新型コロナウイルス対策に直面する中で、MSCIオールカントリー・ワールド指数は弱気相場入りに迫っている。米国債利回りは2018年以来の水準付近に上昇し、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は2年ぶり高水準をわずかに下回る。
サクソ・キャピタル・マーケッツの市場ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「金融環境の引き締めは始まったばかりだ」と指摘。「市場はまだコロナ禍と供給問題、インフレが複合した状況の意味合いを消化しつつある段階だが、今はスタグフレーションのリスクも加わった。これはまだ序の口に過ぎないと考えている」と続けた。
その一方で別の見方もある。JPモルガン・チェースの世界調査共同責任者のマルコ・コラノビッチ氏は、米株相場が今年回復すると確信しており、「悪いことのほとんどは今年既に起こった」と分析する。
株式相場は「落ち込み」から抜け出せる-JPモルガンのコラノビッチ氏
ACYセキュリティーズのチーフエコノミスト、クリフォード・ベネット氏は「すでに本格的に起きている世界的な景気減速を世界の株式市場は織り込みつつあるが、まだそのごく初期の段階でしかないというのがつらい真実だ」と述べ、「これが半年から1年半にわたる調整局面となるのか、3-6年に及ぶ資産価格の下落といった、もっとずっと深刻な落ち込みになるのかは分からない」と述べた。

原題:Global Market Downturn Only Just Beginning for Some Strategists
(抜粋)