市場のリセッション懸念は行き過ぎ-ゴールドマンやJPモルガン
Sagarika Jaisinghani-
市場は景気後退織り込む過程だが、不可避ではない-コスティン氏
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株安局面はまだ始まったばかり、楽観的ではないストラテジストも

A trader points to monitor displaying an S&P 500 Index chart on the floor of the New York Stock Exchange.
Photographer: Bloomberg
米経済と株式市場の見通しは悲観的になり過ぎた可能性があると、ウォール街屈指のストラテジスト複数から指摘が挙がっている。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏と、JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏は米経済が直ちにリセッション(景気後退)に突き進むとの投資家の不安は行き過ぎだとの見方を示しており、コラノビッチ氏は株式相場は年末に向けて回復する余地があるとみている。S&P500種株価指数は1月に付けた過去最高値から18%下げており、弱気相場入りが視野に入ってきた。
株式相場は「落ち込み」から抜け出せる-JPモルガンのコラノビッチ氏
コスティン氏らゴールドマンのストラテジストは18日のリポートで、「リセッションは不可避ではない」との見方を示した上で、「米株市場内でのローテーションが示唆しているのは、最近のデータが示す経済の強さに比べ、投資家が景気腰折れの確率をより強く織り込みつつあることだ」と述べた。
シクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄の相対的パフォーマンスは「劇的な成長減速」を示唆しているが、そういう見方は米供給管理協会(ISM)の製造業データに裏付けられていないとコスティン氏は指摘。米経済が今後2年内にリセッション入りする確率は、ゴールドマンでは35%とみていると続けた。

投資家の現金比率が01年来の高さ、スタグフレーション懸念-BofA
JPモルガンのコラノビッチ氏は先週のインタビューで、「今年のリセッション入りはない。経済再開を背景に夏には消費者活動が幾分か増加し、中国は金融および財政による景気支援を強化するだろう」と語った。
ブラックロックのケイト・ムーア氏や、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏もコラノビッチ氏と同じ考えだ。
クレディ・スイス・グループのグローバル最高投資責任者(CIO)、マイケル・ストロバーク氏も「相場の下落を見て売りを急ぐのは賢明ではない」と投資家に注意を促す。この日のリポートで、「実質利回りが天井を付ければ、急速に回復する可能性がある」とし、特に株式市場には回復の余地があると指摘した。
そこまで楽観的ではない見方もある。サクソ・キャピタル・マーケッツの市場ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「金融環境の引き締まりは始まったばかりだ」と指摘。「市場はまだコロナ禍と供給問題、インフレが複合した状況の意味合いを消化しつつある段階だが、今はスタグフレーションのリスクも加わった。これはまだ序の口に過ぎないと考えている」と続けた。

原題:Goldman, JPMorgan Strategists See Recession Fears as Overblown(抜粋)