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4月コアCPI2.1%上昇、日銀の目標水準に到達-13年半ぶり伸び

更新日時
  • 携帯電話通信料の大幅値下げの影響はく落、エネルギーや食料品上昇
  • 物価上昇は長続きせず、日銀は政策変更できる状況にない-大和総研

4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比2.1%上昇となった。日本銀行は物価上昇は持続しないとみているが、水準としては物価安定目標に掲げている2%に到達した。総務省が20日発表した。

  伸び率は消費税率引き上げの影響を除くと2008年9月以来の高水準となる。昨年の携帯電話通信料の大幅値下げの影響がはく落し、エネルギーや食料の価格も上昇したことから、3月の0.8%上昇から一気に伸びが加速した。消費増税の影響を考慮すると15年3月以来の上昇率。

  生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.8%上昇と、20年7月(0.4%上昇)以来のプラスに転じた。

13年半ぶりの高い伸び
 
 

  日銀では2%程度の物価が安定的に持続する状況を目指しているが、現状のエネルギーや食料品を中心とした物価上昇は一時的とみている。コスト高を通じて企業収益や家計を圧迫し、景気を押し下げるとの見方だ。物価安定目標が対象とする消費者物価は財やサービスを包括的にカバーしている総合指数だが、物価の基調的な動きを見極めるため変動が大きい生鮮食品を除いたコア指数の動向を日銀は注視している。

  4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、22年度のコアCPIの前年比上昇率見通し(政策委員の大勢見通しの中央値)を1.9%に上方修正する一方、23年度と24年度はいずれも1.1%へ鈍化すると分析。黒田東彦総裁は13日の講演で、現在の金融緩和を縮小することは適当ではないとの考えを改めて表明した。

  大和総研経済調査部の瀬戸佑基研究員は、資源価格の上昇と円安による輸入物価の上昇で、特に食品関連が強く押し上げるコストプッシュインフレのため「長続きしない。輸入物価の影響が一巡する23年度以降には基調的に前年比1%くらいの上昇率に戻っていく」と予想。「日銀は物価を理由に政策変更できる状況にはない」と述べた。

キーポイント
  • コアCPIは前年同月比2.1%上昇(ブルームバーグ調査の予想中央値は2.0%上昇)ー前月は0.8%上昇
  • コアコアCPIは0.8%上昇(予想は0.7%上昇)ー前月は0.7%低下
  • 総合は2.5%上昇(予想は2.5%上昇)-前月は1.2%上昇

  4月の携帯電話通信料は前年同月比22.5%低下(前月52.7%低下)し、指数への寄与度はマイナス0.38(同マイナス1.42)に縮小した。

  ロシアによるウクライナ侵攻を受けた原油や食料品の価格上昇は引き続き消費者物価の大きな押し上げ要因。政府の原油高対策もありエネルギー価格は19.1%上昇(同20.8%上昇)へ減速したものの依然として高い伸びが続いており、生鮮食品を除く食料は2.6%上昇(同2.0%上昇)と伸びが拡大した。足元の円安進行も輸入物価の上昇を後押ししている。

エコノミストの見方

SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト:

  • 今日のCPIの結果をもって、日本の物価状況が欧州や米国と全く違うという評価を変える必要はない
  • 引き続き日銀は、少なくとも黒田総裁が任期を終えるころまでは緩和を維持するとみている
  • 今後このインフレが期待物価上昇率、賃上げ、企業の価格行動などにどう影響するかは重要なポイント

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

  • 表面上の数字が2%に達したということだけで、コアコアの数字を見ても分かるように一般物価は2%到達に向かっていない
  • 食料品とエネルギー価格の上昇が景気の下押し圧力になっている中で、日銀の目指す安定的に2%を超える物価上昇が達成されているとは言えず、当然これを受けて金融引き締めとはならない

詳細(総務省の説明)

  • コアCPIの上昇幅拡大は携帯電話通信料値下げの影響はく落が大きいが、上昇自体への寄与はエネルギーと生鮮食品除く食料が中心
    • エネルギーと生鮮食品を除く食料は原油や小麦など原材料価格の上昇に加え、円安が進んだ影響もある
  • コアCPIの前年比で上昇したのは全522品目中351品目。3月の320品目から増加。増加は5カ月連続。生鮮食品除く食料は全176品目中で127品目が増加。3月は112品目の増加
  • ガソリンの前年比上昇率が縮小したのは、政府が石油元売りに支給している補助金の影響が大きい
  • 生鮮食品除く食料では、外食のハンバーガーやコーヒー飲料、中華麺と幅広い品目で原材料価格の上昇などで値上がりしている
  • 家庭用耐久財の上昇は電気冷蔵庫やルームエアコンなど。冷蔵庫はコロナの影響で大容量が売れ筋になる中、新製品が投入されたため値上がりした
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