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ステーブルコインのテラ「何もかもが崩壊」-DeFiの花形から死のスパイラルに

  • USTを安定的に維持するはずの仕組みがどれも機能せず
  • ド・クォン氏、USTの担保増強に向け15億ドル調達目指す

数学とソフトウエアを組み合わせデジタル通貨をドルのように機能させる有名な試みが劇的な形で崩壊しつつあり、その支援者や「DeFi(ディーファイ、分散型金融)」にとってこれまでで最大の試練となっている。

  「テラUSD(UST)」はアルゴリズム型ステーブルコインの一つで、コードやトレーダーのインセンティブなどを複雑に組み合わせてドルとの1対1のペッグを維持する設計だ。USTは同じエコシステム内にある暗号資産「ルナ」と双方向で交換可能だ。

  USTなどの特徴は、そのデジタル資産エコシステムからの離脱や仲介者への依存、価値変動への懸念を伴わずに暗号資産トレーダーが容易かつ迅速に取引できる点だ。USTのボラティリティー管理ソフトを利用することで、アービトラージ(裁定取引)の機会はさらに大きくなる。要するにUSTは暗号資産の理想だ。

  ほんの1カ月前には、ブロックチェーン「テラ」と主要な支援者ド・クォン氏にとって未来は明るく見えた。ルナの担保提供を目的とする組織ルナ・ファウンデーション・ガード(LFG)はUSTのペッグ補強に向けビットコイン15億ドル(約1900億円)強相当を購入した。当時、ルナの価値は過去最高の119ドルだった。

  しかし、今月9日にはUSTを安定的に維持するはずの仕組みがどれも機能しなかった。USTは同日に一時60セントまで下げ、11日にはさらに下落して約20セントを付けた。184億ドルに上っていた時価総額は50億ドルに急減。ルナも一時2.35ドルと大幅に下げた。

ビットコイン、重要な抵抗線下回る-ド・クォン氏のUST下落

  相場が崩れる前にリスク回避に動いた暗号資産ファンド、ファサナラ・デジタルのパートナー兼責任者のニキタ・ファディーブ氏は「多くの人が不意を突かれた。何もかもが崩壊した。全面降伏だ」と語った。

TerraUSD stablecoin crashes from its intended $1 peg
 
 

  テラの慎重に設計された仕組みがどれもうまく機能しなかった理由が何かは不明で、陰謀論も渦巻く。ただ確実に言えるのは、ド・クォン氏がこのまま引き下がることはないという点だ。

  同氏はUSTの担保増強に向け新規および既存の投資家から15億ドルを調達しようとしている。USTの注文が急にほぼ消えたことから流動性を拡充したい考え。15億ドルでは不十分だとして、USTがドルと再度ペッグされるには数週間とは言わないまでも数日かかる可能性があるとの見方もある。

  ブロックチェーン分析会社カイコの調査ディレクター、クレア・メダリー氏は電子メールでUSTについて、再ペッグには1ドルへの上昇に向けトレーダーからの買い注文が希望価格の流動性を全て吸収する必要があるとし、「今朝はほぼ何も残っていなかった」と語った。

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原題:

‘Everything Broke’: Terra Goes From DeFi Darling to Death Spiral(抜粋)

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