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日産復配、業績回復傾向で前期と今期末5円ずつ-今期営業増益へ

更新日時
  • 前期の黒字化や自動車事業のキャッシュ水準健全化で復配を判断
  • 今期の世界販売は400万台見込む-半導体不足など供給面の不安残る
The Nissan Motor Co. logo in a showroom at the company's global headquarters in Yokohama.

The Nissan Motor Co. logo in a showroom at the company's global headquarters in Yokohama.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日産自動車は12日、今期(2023年3月期)の営業利益が前期比1.1%増の2500億円を見込むと発表した。カルロス・ゴーン元会長の逮捕やコロナ禍などの影響から無配が続いていたが業績は回復基調にあり、未定としていた前期末の配当を5円とし、今期末にも5円の配当を予想している。

Nissan Headquarters Gallery Ahead of Earnings Announcement
日産の新型EV「アリア」
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日産の発表資料によると、前期の営業損益や純損益の黒字化のほか下期の自動車事業フリーキャッシュフローの黒字化を達成し、健全なネットキャッシュ水準を維持できていることなどから復配を判断したとしている。

  内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は同日のオンライン会見で、「株主還元の向上は当社にとって優先課題の1つで、今後適切な水準まで増額すべく取り組んでいく」と語った。今期の中間配当は「直近の著しく変動している外的要因により現時点では未定とし、今後の状況を踏まえ最終判断」していく考えだという。

  内田社長は前期の配当性向は約9%相当と「まだまだ低い」と述べ、将来的には30%の水準まで引き上げていきたいとした。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、利益水準やキャッシュフローを考えると復配は今期からとみていたため、22年3月期に「わずか5円とはいえ、復配したことはサプライズ」と評価した。ただ、5円配当は総額として196億円にとどまるため、ロシア・ウクライナ情勢の影響を大きく受けている日産の筆頭株主、仏ルノーへの支援という意味では限定的との見方を示した。

  日産の発表資料によると、今期については原材料費や物流費の上昇で2570億円のマイナス要因となるものの為替や事業のパフォーマンスの改善などで計3500億円の増益要因となり微増を見込んでいる。今期の為替レートは1ドル=120円、1ユーロ=130円と足下の相場より円高方向に設定している。

  日産の今期の営業利益見通しは、ブルームバーグが事前に集計したアナリスト19人の予想平均値(3211億円)を下回った。

 

日産の23年3月期業績見通し

売上高:前期比19%増の10兆円(市場予想10兆52億円)

営業利益:同1.1%増の2500億円(市場予想3211億円)

純利益:同30%減の1500億円(市場予想2789億円)

  

  世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品サプライチェーン(供給網)の混乱が長期化しており、自動車各社は工場停止や生産調整を余儀なくされる状況が続いている。こうした中で日産は今期の世界販売台数見通しを前期比3.2%増の400万台と設定したが、供給に支障が生じる事態になれば下振れのリスクも残る。

  一方、減産により新車の需給が逼迫したことで販売奨励金は抑制されており、経営再建に向けて販売の「量から質」への転換を掲げる日産にとっては追い風となっている側面もある。

  日産と企業連合(アライアンス)を組むルノーは電気自動車(EV)事業の分社化と上場を検討している。内田社長は、同計画は「当然発表もあったし、われわれもその内容をよく理解したいということで、その協議は開始している」と述べた。

  内田社長は「ルノーが進めようとしていることに対して、われわれはサポートする立場にはある」とした一方、同計画が企業連合の強化につながるかどうかなど議論を重ねながら判断していきたいとの考えを示した。

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