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中国の刺激策、08年のように世界経済救わず-足かせになるリスクも

  • 世界は「最悪の状況」に直面-ロゴフ元IMFチーフエコノミスト
  • 中国は「サイドブレーキをかけながらアクセルを踏んで運転」との声

世界的な金融危機が2008年に起きると、中国は大規模な財政出動を実施した。銀行融資も前例のないほど増やし、商品・消費財需要を刺激するとともに、オーストラリアやブラジルなど貿易相手国や主要なグローバル企業に恩恵を与えた。この時の景気刺激策は4兆元規模と、当時の為替レートで約58兆円相当だった。これより小さめだが中国は16年にも財政支出を打ち出し、不動産市場を復活させた。

  だが今回は違う。中国が計画している刺激策が、世界的な景気減速を反転させる力となる公算は小さい。今や中国経済は倍以上に膨らみ、世界の国内総生産(GDP)の18%強を占めるが、債務を大きく膨らませた08年のような超大型の刺激策を繰り出すことに当局は及び腰だ。

  新型コロナウイルス対策に取り組む政府は、景気浮揚を不動産セクターに頼らないことを決意しているようにも見受けられる。習近平国家主席は徹底的なコロナ封じを狙う「ゼロコロナ」戦略を堅持。こうしたアプローチが今年の成長を抑制する可能性は大きく、中国が世界経済の足かせとなることもあり得る。

China’s Real GDP Growth

Source: Bloomberg survey

2022 figures are consensus forecasts based on Bloomberg surveys of economists.

  世界的なリセッション(景気後退)に対する警告は増えている。世界中の中央銀行はインフレ抑制のために金利を引き上げ、ロシアのウクライナ侵攻でグローバルサプライチェーンは打撃を受けている。

  国際通貨基金(IMF)は先月、今年の世界経済成長率見通しを3.6%に引き下げた。ウクライナ侵攻開始前の1月時点では4.4%と見込んでいた。世界は中国と欧州連合(EU)、米国の潜在的なリセッションという「最悪の状況」に直面しているとケネス・ロゴフ元IMFチーフエコノミストは警告している。

力不足の「ニューディール」

  習主席は中国国内のインフラ増強に全力を挙げて取り組むと表明。これには砂漠地帯での大規模な風力・太陽光発電所計画も含まれる。

  シティグループは計画される刺激策を中国版「ニューディール」政策と呼び、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は08年の措置になぞらえる。だが、コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)を続けながら、経済を再起動させることはできないとする懐疑論者は、発表された支出計画では景気押し上げに力不足とみている。

China’s Share of Global Economic Output*

Source: International Monetary Fund

*At purchasing power parity

  中国は債務を削減しながら22年の経済成長率目標(5.5%前後)を達成し、なおかつゼロコロナを維持するという不可能に挑んでいると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の大中華圏担当チーフエコノミストである喬虹氏は指摘。 

  「これまでの景気サイクルでは、投資の伸びを後押しするため、金融・不動産・財政政策の協調緩和を想定通り当局は打ち出した」が、 「今回は原油高主導のインフレと米連邦準備制度の引き締めに対する懸念と共に、レバレッジ(借り入れ)拡大については大きく控える姿勢を崩していないようだ。これまでに多くの緩和策が展開されたが、その協調性と効果は限定的だ」と述べる。

サイドブレーキ

  中国経済は「過去のサイクル時ほど成長に寄与しない」と見込むパンセオン・マクロエコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、クレイグ・ボサム氏は、インフラ事業重視が輸入を促し7-12月(下期)後半に「一部の商品需要を底入れさせるのがベスト」シナリオだと話す。

  マッコーリー・グループの胡偉俊エコノミストは比較的楽観的で、中国が今年5%の経済成長を遂げるとの自身の予想を変えていない。ただ、HSBCホールディングスのアジア経済調査担当共同責任者フレデリック・ニューマン氏は刺激策とロックダウンが相殺し合っているとし、「サイドブレーキをかけながらアクセルを踏んで運転するようなものだ。アクションは多いが、けん引力はほとんどない」と主張している。

原題:China’s Stimulus Isn’t Going to Save Global Economy Like in 2008 (抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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