債券市場の不安定、終わらず-ハト派FRB議長でインフレ懸念増大も
Liz McCormick、Michael MacKenzie
US Federal Reserve Chairman Jerome Powell.
Photographer: JIM WATSON/AFPパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は4日、0.75ポイント利上げの観測を打ち消し、株式と債券相場を上昇させた。
しかしハト派と見なされる発言によって、インフレ圧力が高まった場合に債券市場が一層不安定となる舞台を整えたかもしれない。
ブラックロックのシステマチックマルチ戦略のシニアポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、FRBは「複数回の50ベーシスポイント利上げという見通しが持続していると伝えようとした」が、「意図せずに非常にハト派的なメッセージを送ってしまった」と指摘。
その結果、「少なくとも4日には金融環境が緩和された」と同氏は話した。だが、これは数十年ぶり高水準のインフレを抑えるために望ましいことではない。一部の市場ウオッチャーは既に、FRBがこのアプローチをどれだけ続けられるかを疑問視している。

パウエル議長は、利上げサイクルを終える中立金利の水準を2-3%と当局が考えているとし、ローゼンバーグ氏らを驚かせた。発言を受けて市場も利上げペースや長期的な政策金利軌道を再考。SLCマネジメントのマネジングディレクター、デック・ムラーキー氏によれば、年末の金利は約2.75%と予想されている。
しかし市場がより緩やかな引き締めペースの観測を受け入れたとしても、こうした想定がどの程度長続きするかは疑問だ。カナダのCIファイナンシャル傘下GSFMの投資コンサルタント、スティーブン・ミラー氏は、「FRBが2021年にインフレ期待をうまく制御できる水準から外れさせたため、当局にとってインフレは難題であり続ける」と述べた。

原題:
Bond Turbulence Far From Over as Inflation Fears Haunt Fed Path(抜粋)