コンテンツにスキップする

外国勢最大の日本の買い手が米国債売却-過去3カ月で600億ドル処分

  • 為替ヘッジコスト上昇や米金利巡る不確実性で日本勢不在は長期化も
  • ユーロのヘッジコストはなお過去1年の平均付近、欧州債も選択肢に

米国債市場が過去に波乱に見舞われた局面では、外国勢で最大の投資家が救いの手を差し伸べてきた。だが、今回はそうではない。

  米連邦準備制度が9兆ドル(約1170兆円)のバランスシート圧縮に踏み切ろうとする矢先にあって、ここ数十年にわたり米国債の大量購入で知られてきた日本の機関投資家の動向が大規模な債券売りに拍車をかけている。

Treasury Says New Law Only Way To Fully Contain Stablecoin Risks
米財務省
Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

  BMOキャピタル・マーケッツの最新データでは、外国勢で最大の米国債保有者である日本勢は過去3カ月に約600億ドル相当を処分。日本の保有残高の1兆3000億ドルに比べると小さな変化かもしれないものの、売却が膨らむ可能性もある。

  それは米国と日本の金融政策の道筋がこれまで以上に分岐して、円が20年ぶりの安値に沈み、市場のボラティリティーが急上昇しているためだ。これらは全て為替ヘッジのコストを押し上げており、特に大手生命保険会社の間では、米国の名目利回り上昇の魅力を完全に相殺している。

  結果的に日本勢は歴史的な米国債売りの一因となっており、米10年国債利回りが3%を確実に上回るまでは市場に一斉に戻ることはないかもしれない。実際、米国債利回りが数年ぶりの高水準にあっても、ゼロに近い水準にある国内債の魅力が一段と高まっているように見受けられる。

Japan's currency cost for Treasuries at highest level in two years
 
 

  BMOの金利ストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は「これはかなりの規模の売却であり、2017年の早い時期に見られたものと同レベルだ」と指摘した。

  米金融当局によるインフレ抑制のための積極的な引き締めサイクルが今後数カ月に複数回の0.5ポイント利上げにつながる可能性がある一方、日銀は終わりの見えない景気刺激策を続けている。それが円相場を押し下げ、日本の10年国債利回りが0.25%付近で頭打ち状態でも米国債購入の経済的合理性とは正反対の展開となっている。

  米国債売りで米10年債利回りは2.9%前後に上昇したものの、ドル・円相場の変動に備えたヘッジコストを加味すると、買い手の実効利回りはわずか1.3%に縮小する。これはヘッジコストが1.55ポイントと、新型コロナウイルス感染拡大でドル需要が世界的に急増した2020年早期以来見られなかった水準に急上昇したためだ。

  1年前にも米国債は実効ベースで同様の利回りだったが、それはヘッジコストがわずか0.32ポイントにとどまっていたためだ。

  ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーは、ヘッジコストが米国債投資で問題だと指摘した。

Japan heads for the exit during this year's U.S. bond rout
 
 

  米金融当局の政策引き締めサイクルと、それに伴う市場のボラティリティーで日本勢の米国債購入が抑制されたことは過去にもあった。しかし今のサイクルでは、米国のインフレや金利政策を巡る不確実性が高いだけに、日本勢の不在は長引く可能性がある。また、ユーロのヘッジコストが依然として過去1年の平均付近にあることから、日本のトレーダーにはゴールデンウィークの連休明けに米国債以外の外債に向かう選択肢もある。

  MUFGセキュリティーズアメリカの米マクロ戦略責任者ジョージ・ゴンキャルベス氏は「日本の投資家は長期債利回りが多少安定したのを待った上で買いの機会を意識するだろう」と予想。「5月中に10年債が落ち着けば、買い手を引き付けるのに役立つ」と述べた。

原題:

Biggest Treasury Buyer Outside U.S. Quietly Offloads Billions(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE