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為替介入は日銀と矛盾、各国の支持も困難か-効果は限定的との指摘も

  • 日銀の指し値オペ方針や黒田総裁の発言を受け一時1ドル=131円台
  • 米利回りが上方向に傾斜、介入効果は比較的弱くなる-ゴールドマン

円が20年ぶりの安値水準を更新する中、岸田文雄政権が円買い・ドル売りの為替介入に乗り出すとの市場観測が出始めている。ただ円安は日米の金融政策の違いが主因とされ、介入した場合は政府と日本銀行の間に矛盾を抱える。各国からの支持を得るのも困難とみられている。

  財務省幹部は4月28日夕、必要な場合には適切な対応を取ると記者団に話した。表現は従来よりも強まり、発言としては為替介入へ一歩近づいた。日銀の金融政策決定会合後に指し値オペを原則として毎営業日実施する方針が発表されたほか、黒田東彦総裁の金融緩和継続や円安は全体としてプラスとの発言を受け、2002年4月以来の一時1ドル=131円台へ円安が進んでいた。

急速に進む円安
 
 

  鈴木俊一財務相は価格転嫁できず賃金も伸びない環境で進む円安は「悪い円安」との認識を示している。夏に参院選を控え、円安に国民の不満が高まるのであれば、為替介入も選択肢となり得る。

  「選挙を見据えて、やっている感を出すためにやってくる可能性はある」。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、日本単独での介入は効果が薄く「選挙を見据えたパフォーマンス以上の意味はない」としつつ、可能性を視野に入れる。

  マネックス証券の吉田恒チーフ・FXコンサルタントは4月19日付リポートで、過去の介入実績を踏まえると「早ければ1ドル=130円前後で、2兆円以上の規模で行われる可能性が考えられそうだ」と指摘していた。

  ただ円安の背景は、金融緩和姿勢を堅持する日銀と正常化に動く各国との方向性の違いで、円はドル以外の通貨でも独歩安の展開だ。米国を中心にインフレ抑制効果のある自国通貨高を容認する中、円高誘導の為替介入への支持は得られにくい。

Spring Meetings Of The International Monetary Fund And World Bank
鈴木俊一財務相(4月20日、ワシントン)
Photographer: Al Drago/Bloomberg

  20カ国・地域(G20)や主要7カ国(G7)でも為替は主要議題にならなかった。単独介入の場合は、1年間に国内総生産(GDP)比2%以上に当たる総額10兆円を超えれば、米国から為替操作国と認定される恐れがある。

  大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、円安の原因となっている「日銀の金融政策は維持せざるを得ない中で、円安は駄目だと言って、政府が何らかの行動をとるのは矛盾を抱える」との見解を示した。一方、「今のところ直接介入の可能性は低いが、1ドル=140円近くになり、日本経済に厳しいと国際的に理解が得られる状況になれば変わってくる」と述べた。

  ゴールドマン・サックス・グループは介入したとしても円安傾向は変わらないとみる。ストラテジストのカレン・フィッシュマン氏はリポートで「米利回りがなおも上方向に傾斜するリスクがある中で、為替介入の効果は比較的弱くなる可能性が高いだろう」と指摘した。

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