オペ明確化で政策の「臆測払拭」、粘り強く緩和-黒田日銀総裁
伊藤純夫、藤岡徹-
最近の為替急変は経済にマイナス、全体ではプラスの評価変わらず
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エネルギー主因の物価上昇の持続性乏しい、インフレ期待も高まらず
日本銀行の黒田東彦総裁は28日、金融政策決定会合で決めた指し値オペ運用の明確化は、オペの有無から政策を探ろうとする市場の「臆測を払しょくするため」だと説明した。会合後に記者会見した。
総裁は指し値オペを「必要なら毎日やる」とし、明確化によって長期金利の上限を0.25%でしっかり画することになり、「市場の不安定性を減じることにつながる」との見方を示した。これまで実施してきた指し値オペ自体が「何か変化するということではない」とも話した。
明確化は従来の政策に比べて「より円安を促すものではない」と表明した。円安が日本経済にとって全体としてプラスとの評価は変えていないとしたが、最近の急激な変動はマイナスに作用するとの認識は「鈴木俊一財務相と同じ」と述べた。
日本の経済・物価情勢は金融政策の正常化を進める状況にはなく、「緩和を粘り強く続ける」と従来の見解を繰り返した。必要であれば「躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和をする」としている。
消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は22年度にいったん2%まで上昇率を高めるとみているものの、エネルギー価格の上昇が主因で「持続性に乏しい」と指摘。企業や家計のインフレ期待もコストプッシュの物価上昇が起点となる中では、「十分に高まっていくということにはならない」との見解を示した。
他の発言
- 為替が短期間に過度に変動すると先行きの不確実性を高める
- 粘り強く緩和続けることで景気回復を支援することが重要
- 日銀と政府に基本的な認識の違いはないー物価上昇
会見を受けて外国為替市場では円売りが強まり、ドル・円相場は1ドル=130円76銭と2002年4月以来の円安水準を更新した。
会合では、連続指し値オペの運用を明確化し、明らかに応札が見込まれない場合を除き、10年国債利回り0.25%で毎営業日実施することを決定した。現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策も維持する。
政策金利のフォワードガイダンス(指針)に変更はなかった。当面は新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を行うとの方針も維持した。
日銀が指し値オペ運用を明確化、0.25%で毎営業日-緩和維持 (3)
