コンテンツにスキップする

香港からシンガポールへの金融人材異動、奔流ではなく緩流にとどまる

  • シンガポールでのビザ発給要件の厳格化などがハードルに
  • ロンドンやシドニーに再配置する動きや低税率ドバイへの異動も

アジア随一の国際金融センターとしての香港の地位が徐々に地盤沈下しつつある状況にあって、シンガポールは明らかな勝者となるはずだが、これまでのところそうした展開にはなっていない。

  それは、シンガポールでのビザ発給要件の厳格化や外国人材の採用制限など行政上の措置がハードルとなり、この数カ月間の香港からシンガポールへの金融人材の異動は奔流というよりも緩流にとどまっていることを意味する。

  大部分の企業は公にするのをためらうものの、このような事例は数多くある。ある欧州の銀行はスタッフの異動を容易にするため、マリーナベイの金融街にあるオフィスを香港のバックアップセンターに分類している。グローバル企業のある幹部は、現地人材の採用促進のプレッシャーを感じていると述べた。資産運用会社アトランティック・パートナーズ・アジア・キャピタルは香港からシンガポールへの本社移転の決定を再検討しているという。

HSBC Operations in Singapore As Bank Plans To Accelerate Expansion Across Asia
マリーナベイの金融街の高層ビル群
Photographer: Lauryn Ishak/Bloomberg

  元ヘッジファンドマネジャーで、現在はファミリーオフィスを運営するシンガポール在住20年のスティーブン・ディグル氏は「最近は就労許可を得るのが難しくなっており、現地採用推進は本物の動きだ」と話す。「労働許可が下りないため、例えば40人もの人材をここに異動させるのは不可能だ」と述べた。

  新型コロナウイルス対策の厳格な規則や中国政府の影響力強化を背景に、国際金融都市としての香港の魅力は低下している一方、シンガポールでの各種制限を受けて、一部の企業はさらに別の場所への人材の異動を検討している。ロンドンやシドニーに再配置するケースや、税率の低さが魅力のドバイへの異動などもあるという。

原題:

Expat Bankers Fleeing Hong Kong See No Easy Escape to Singapore(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE