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日本の社債市場にも漂うリスク回避の潮流-電力債の比率が過去最高に

  • 4月は新発債の65%を占める高水準、安全で保守的との見方から上昇
  • 電力会社は公益性高く投資家は安心して買いやすい-JCRの小野氏

リスク回避の激流が日本の社債市場にも押し寄せている。国債利回りが上昇し、円相場が20年ぶりの安値に下落する中、2022年度の社債発行は安全で最も保守的な企業に偏っている。

  ブルームバーグが集計したデータによると、4月に入り、これまでの社債市場では電力会社による発行額の比率が65%を占め、記録をさかのぼることができる1999年以降で最高水準となった。2021年度は16%に過ぎなかった。電力会社を除くと今年度は過去2番目に低調なスタートとなる。

Dominant Sellers

Utilities made up the biggest portion of bond issuers ever in April

Source: Bloomberg

Note: Figures are for April of each year, and the 2022 number is for April 1-21.

  日本格付研究所(JCR)の小野正志チーフアナリストは、電力会社は「クレジットの高さと事業の安定性が評価されている」と話す。起債頻度が高い電力会社は「公益性が高い事業で、他の産業と比べて投資家としては安心して買いやすい」と述べた。

  こうした状況は、日本の社債市場が、債券や外国為替市場、景気の先行き不透明感という脅威に敏感になりつつある可能性を示す。世界的に加速する物価上昇とそれを阻止するための利上げ観測が各国の国債利回りを押し上げる中、日本銀行は10年物国債利回りを上限とする0.25%以下にとどめようと連日の指し値オペに動いている。

  海外に比べて金利上昇が抑えられるとの見方が円安を招き、輸入価格は急騰した。3月の貿易収支は、15年以降で最長となる8カ月連続の赤字を記録した。足元では貿易赤字がさらなる円安につながる構図だ。

  世界的な債券市場の低迷も日本の社債市場に影響を与えている。野村BPIによると、社債平均利回りは約7年ぶりの高水準に上昇。クレジット・デフォルト・ スワップ(CDS)市場でも社債保証コストが3月に20年半ば以来の高値を付けた。

  11年の福島第一原子力発電所の事故以来、東京電力ホールディングスを含む日本の電力会社は燃料を輸入する主な産業となった。ロシアによるウクライナ侵攻が世界的に燃料価格を押し上げ、日本の石炭平均輸入価格はデータをさかのぼれる1988年以降で最高水準に高騰した。

  電力会社も多くの輸入業者と同様に、円安というコスト高で打撃を受けており、東電HDの22年3月期決算は9期ぶりの最終赤字になる見込み。しかし、電力会社には燃料価格の上昇分を数カ月後の電気料金に反映できる仕組みがある。

  S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの中井勝之主席アナリストは、円安が電力会社に直接打撃を与える可能性は低いとの見方を示し、「競争環境や収益安定性の見通しに評価が置かれる」と述べた。

原題:

Record-Level Risk Aversion Hits Japan Credit Market as Yen Drops(抜粋)

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