全国コアCPI0.8%上昇、エネルギー主導で伸び拡大-3月
伊藤純夫
更新日時
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電気代などエネルギーが20.8%上昇、生鮮食品除く食料は2.0%上昇
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生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.7%低下

A customer picks up a package of fruit at a Takeya Co. store in the Ueno District of Tokyo, Japan, on Wednesday, April 20, 2022.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比0.8%上昇と、7カ月連続でプラスとなった。伸び率は前月(0.6%上昇)から拡大し、2020年1月以来の大きさ。電気代などエネルギー価格の上昇が続いたほか、生鮮食品を除く食料も全体の押し上げに寄与した。総務省が22日発表した。
エネルギーは前年同月比20.8%上昇。電気代は21.6%上昇、都市ガス代は25.3%上昇と、いずれも前月から伸びが加速した。生鮮食品を除く食料は2.0%上昇と、2015年12月以来の大幅な伸びだった。
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原油など資源価格が高止まりする中、物価の押し下げ要因となっていた携帯電話通信料の値下げの影響が4月以降はく落する。3月の携帯電話通信料は52.7%低下、マイナス寄与度は1.42ポイントで、携帯要因を除いて単純計算したコアCPIの伸び率は2.22%となる。同じ計算に基づくと、昨年11月以降はGoToキャンペーンの反動が出た1月を除いて2%前後で推移している。
2%の物価安定目標を掲げる日本銀行の黒田東彦総裁は5日、4月以降の消費者物価は2%程度の伸びとなる可能性があるものの、エネルギー高騰に伴うコストプッシュ型と説明。物価上昇は「長続きしない」との見方を示した。
エコノミストの見方
大和証券の末廣徹シニアエコノミスト(リポート):
- エネルギー価格と食料品価格の上昇がコアを押し上げている
- 4月には携帯電話通信料引き下げの影響がはく落することになり、コアの前年同月比は2%前後になる可能性がある
- しかし、ガソリン補助金の影響もあって2%を大幅に上回る可能性は低い
詳細(総務省の説明)
- コアCPIの上昇率が前月から拡大したのは電気代を中心としたエネルギー、生鮮食品を除く食料、携帯電話通信料、家庭用耐久財などが寄与
- エネルギーでガソリンの前年比が縮小したのは激変緩和措置の影響があるが、定量的にどの程度かは分からない
- 生鮮食品除く食料は円安や供給不足、輸送費の上昇でインスタントコーヒーや食用油などいろいろなモノの価格が上がっている
- 携帯電話通信料の前年比の下落幅が縮小したのは、昨年の3月に一部のメーカーが4月に先駆けて安いプランを出したため
- 4月のコアCPIが2%に達するかは現段階では分からない。3月の携帯電話通信料は1.42%ポイント押し下げに寄与しており、この分が4、8、10月と段階的にはく落することになる。このうち4月分の押し上げは1%程度
(エコノミストコメントと詳細を追加して更新しました)
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