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プーチン戦争の代償、核兵器使用も懸念-ロシアのエリート層に危機感

  • ウクライナ侵攻はロシアを何年も後戻りさせる破滅的過ちだと認識
  • 核兵器の限定的使用の不安をロシア当局者もますます共有している

ロシア軍がプーチン大統領の命令でウクライナに侵攻して約8週間が経過した。軍の犠牲は増え、ロシアはかつてない国際的孤立に直面し、大統領の開戦の決定に疑問を感じる政府と国営企業の幹部も少数ではあるが、数を増しつつある。

  権力の頂点では引き続き限定的だが、職位の高い幹部の間で、批判的な層が横断的に広がっている。直接状況を知る10人が公の発言への報復を恐れ、匿名で語ったところでは、ウクライナ侵攻がロシアを何年も後戻りさせる破滅的過ちだと幹部らは考えている。

  プーチン大統領が方針を変える可能性や国内で大統領に異議が唱えられる見通しは全くないというのが、これらの人々のこれまでの認識だ。大統領は一段と狭まるサークル内の強硬派の意見だけをますます頼りにし、経済的・政治的な致命的コストを他の幹部が警告しようとしても、はねつけてきた。

  プーチン氏が歴史的使命と見なす軍事作戦に失敗すれば、核兵器の限定的使用に目を向ける恐れがあると米情報当局は懸念するが、一部の証言によると、ロシアの当局者らも次第にその不安を共有しつつある。

Russian Retreat From Bucha Reveals Scores Of Civilian Deaths
破壊されたロシアの軍用車両やがれきが散乱するキーウ近郊のブチャ(4月6日)
Photographer: Chris McGrath/Getty Images 

 

  確かにプーチン氏が開始した戦争への支持は、ロシアのエリート層の大部分になお深く浸透し、西側との衝突が不可避であり、米国と同盟国が科した包括的制裁に経済がやがて順応するというロシア政府が描くストーリーを公の場でも非公式の場でも多くが信奉している。

  それでもプーチン大統領の侵攻継続の決意が、経済機能をまひさせ、安全保障を危険にさらし、国際的影響力を損なう緊張のエスカレート、そして何年も続く孤立にロシアを追い込むとますます多くの幹部が考えるようになった。

  少数の大物実業家は、ロシア政府の戦略を疑問視する遠回しの意見表明を行ったが、多くの有力プレーヤーが反対意見に対する弾圧の広がりを恐れ、懸念を公にすることができないでいる。  

対ロシア制裁の有効性について語るルー元米財務長官
Source: Bloomberg

  2人の証言によれば、プーチン大統領が助言を求めるのは以前から強硬派の限られたグループだったが、ウクライナへの侵攻開始後の数週間で、大統領を取り巻く顧問らのサークルはさらに狭くなった。ウクライナ侵攻の決定は、大統領のほか、ショイグ国防相とゲラシモフ軍参謀総長、パトルシェフ安全保障会議書記を含むほんの一握りのタカ派側近らにより決定されたという。

  ペスコフ大統領報道官にこの記事に関するコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。ラブロフ外相は19日に公開されたインタビューで、ウクライナでの核兵器使用の可能性について繰り返し質問されたが、直接答えることを避けた。

  停戦に相当な譲歩が必要なことや損害を考えれば、プーチン大統領がウクライナ侵攻の早期停止を検討する用意がある兆しは、批判的な人々の目にまだ入っていない。大統領が政治システムを完全に支配している状況を踏まえれば、異なる見解の定着は非公式な形でしかあり得ない。

  政治コンサルタント会社Rポリティクのタチアナ・スタノワヤ氏は「プーチン氏は主に一般国民の支持を喚起することで体制を築き、それをエリート層支配の手段としてきた」と指摘。「異論や議論の余地はない。誰もが大統領の命令を実行するしかなく、プーチン氏が事態をコントロールしている限り、人々は彼に従う」と話した。

原題:Kremlin Insiders Are Alarmed Over Growing Cost of Putin’s War(抜粋)

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