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止まらない鋼材価格の高騰ー異例の主原料高で4月以降更なる値上げへ

  • JFEスチール:国内外全品種2万円引き上げへー追加値上げも
  • 鉄鋼大手の鋼材価格は1ー3月期に過去最高水準に

鋼材価格の高騰が止まらない。ロシアのウクライナ侵攻後、主原料である鉄鉱石や原料炭が高騰していることが影響している。国内大手鉄鋼メーカーは鋼材価格をさらに引き上げる方針で、景気の先行きに不安が広がる中、買い手にとって厳しいコスト負担増となる。

Inside Nippon Steel & Sumitomo Metal Plant As US and Japan To Intensify Bilateral Trade Talks Amid Tariffs
日本製鉄東日本製鉄所(2018年、茨城県鹿嶋市)
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  JFEホールディングス(HD)傘下の事業子会社JFEスチールは、4月以降、国内外で全品種の鋼材価格をトン当たり2万円、2割程度値上げする。

  同社の広報担当者によると、主原料価格の上昇分を価格に転嫁する方針で、一般流通向けのほか、鉄鋼各社が自動車メーカーなどと直接価格を交渉する国内大手顧客向けも対象となる。物流費や燃料費、副原料などのコストも上昇していることから、顧客に応じてさらなる値上げも要請する方針だ。

  神戸製鋼所も11日、家電向けや建設資材として使われる薄鋼板の価格を5月出荷分から同2万円値上げする方針を発表。同社の広報担当は値上げ率は非開示としている。足元のコスト上昇が著しく、値上げが不可欠だと判断したとコメントした。 

  日本製鉄では4月以降、大手顧客向けの販売価格値上げで合意しているが、同社広報担当によると値上げ幅などの詳細については非公表だという。一般流通向けには薄鋼板を5月出荷分から同1万円、1割程度引き上げるなど、品種別に値上げを打ち出している。

度重なる値上げへ

国内鉄鋼大手の鋼材価格はすでに過去最高水準に

出所:日本製鉄、JFE

注:22年1-3月期は推定値

  日鉄は足元の原料、物流費などの急騰が製品の生産コストをトン当たり3万円以上押し上げる要因となっていると分析。同社は、製品の需給や国内外市況、その他のコストの動向を踏まえ、今後も継続的に一般流通向けの価格を改定する方針だ。

  同社の広報担当は電子メールで、価格を直接交渉する大手顧客に対しても「各種コストアップや低生産性、低採算注文の採算改善も含めた価格改定を申し入れる予定だ」とコメントした。

  原料炭価格はウクライナ侵攻後、価格高騰に拍車がかかり異例の価格水準が続く。豪州炭の先物価格は現在、トン当たり500ドルを超え、1年前の3倍以上の水準となっている。鉄鉱石価格も上昇基調が続き足元で150ドル台で推移している。

ロシアのウクライナ侵攻後、石炭価格の高騰に拍車
 
 

  これに先立ち、脱炭素化の流れによる鉄の供給制限やコロナ禍からの需要回復により世界の鉄鋼需給はひっ迫しており、昨年度も国内の鉄鋼メーカーは鋼材価格を大幅に引き上げていた。

  1-3月期の鋼材平均価格(推定値)は日鉄がトン当たり13万円、JFEが11万5000円で、資源価格の高騰に沸いたリーマンショック前の2008年の水準を上回り、それぞれ過去最高水準となっている。

   一方、鋼材の価格高騰が続けば需要が落ち込む懸念もある。日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は3月29日の定例会見で、ウクライナ危機が長引けば「世界の鉄鋼需要に甚大な影響が出ると思わざるを得ない」と述べ、世界の鉄鋼市場の先行きに危機感を示した。

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