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日銀の22年度物価予想は30年ぶり高水準視野、円安で市場との対話難化

  • 展望リポートを28日公表、物価上昇は一時的と正常化観測を抑制へ
  • 緩和維持方針は円安容認、4月会合で政策金利指針変更との見方も

日本銀行が4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示す2022年度の消費者物価見通しは、30年ぶりの高水準となる可能性がある。日銀は足元の上昇は一時的とみて現行の金融緩和策を維持する構えを崩していないが、欧米との金利差に伴う円安で正常化観測が広がる市場との対話は一段と難化しそうだ。

  28日の金融政策決定会合後に公表される展望リポートでは、ロシアのウクライナ侵攻後の原油など資源価格の上昇加速を映し、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は前回1月の1.1%からの上方修正が必至の情勢だ。実績値が08年度の1.2%を上回れば、消費増税の影響を除くと1992年度の2.1%以来、30年ぶりの高水準となる。ブルームバーグの調査によると、エコノミストの22年度予想は前年比1.8%上昇。

まれに見る上昇率

22年度のコアCPIは30年ぶりの高水準が見込まれている

出所:ブルームバーグ、総務省 備考:年度ベース

  浜銀総合研究所の北田英治上席主任研究員は、エネルギー価格が急激に上昇しており上方修正自体は自然だとし、「重要なのは物価上昇の持続性について日銀がどう判断するかだ」とみる。「日銀は物価見通しを上方修正しても政策変更に向かうわけではないことを明確にするだろう」との見方を示す。

  黒田東彦総裁は13日の信託大会で、足元の輸入コスト高による物価上昇は「家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて、わが国経済の下押し要因となる」と説明。現在の強力緩和を粘り強く続けることで感染症からの回復途上にある日本経済を支え、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指す考えを改めて表明した。

  ドル・円相場は同日、約20年ぶりの水準となる1ドル=126円台まで円安が進んだ。 鈴木俊一財務相は「急な変化は大変に問題である。しっかり緊張感を持って、これからの為替の動向は注視していきたい」と警戒感を示した。

鈴木財務相、為替の「急な変化は大変な問題」-緊張感持ち注視 (2) 

  政府は4月末までに物価高騰に対応する総合緊急対策を取りまとめる方針だ。金融引き締めに転じた米欧中央銀行との方向性の違いが「悪い円安」を誘引しているとの批判も強まりつつある中、日銀の政策修正への思惑が強まりやすくなっている。

  元日本銀行理事の早川英男氏(東京財団政策研究所主席研究員)はコアCPIは「年央から夏にかけて2%を超える」とみる。コスト高に対する国民の不満の高まりを背景に、日銀が早ければ7月の会合で長期金利の変動容認幅の再拡大などイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の弾力化に動くと予想する。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、日銀の緩和維持方針が円安容認と捉えられる中で、従来通りの利下げバイアスを維持すれば投機的な円売りが加速しかねないと指摘。4月会合で政策金利のフォワードガイダンスを「経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の長短金利の水準を維持することを想定している」に変更し、現在の利下げバイアスの削除を見込む。

  ただ、足元の物価上昇を受けて企業や家計の短期的なインフレ期待は高まっているが、先行きの物価上昇を上回るような賃上げにはつながっていない。日銀は展望リポートで、現在の物価上昇はエネルギー価格の高騰が主因で持続性に乏しい点などを説明し、現在の強力緩和を粘り強く続ける方針を改めて表明する見通しだ。

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