ファストリ:今期黒転見通しの北米ユニクロ拡大へ、5年で200店舗
黄恂恂-
通期の純利益予想を1900億円に増額修正、為替円安が寄与
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経営を引き継ぐ次世代の体制、大枠は固まってきている-柳井氏
ファーストリテイリングは14日、北米のユニクロ事業について今後5年で店舗数を3倍に増やし、2027年8月期に同地域で売上高3000億円、営業利益率20%を目指す方針を明らかにした。北米事業は長年苦戦したが、欧州と併せて中国に次ぐ海外市場で第2の柱に育てる。
同事業では東海岸や西海岸を中心に新規出店を加速する方針で、年30店の出店で5年後に200店舗とする。北米ユニクロ事業の前期(21年8月期)の売上高は1954億円と全体の9.2%を占めており、2月末時点の店舗数は57店舗だった。新規都市にも出店し、ユニクロブランドの認知度向上を狙う。コロナ禍の中でも、北米市場の顧客の声を基に、世界で売れる商品も誕生しているという。
これまで赤字だった北米ユニクロ事業は今期に増収が予想され、05年に進出して以来初めて黒字化する見通し。1桁台後半の営業利益率を達成できる見込みとしている。
岡崎健最高財務責任者(CFO)は都内で会見し、欧米市場は「海外でグレーターチャイナ(中華圏)に続く収益の柱になりつつある」と語った。
今期は、海外で最大の市場である中国大陸や香港で新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制が続いており減収減益となるが、北米やアジア・オセアニア地区が好調で、今期の海外ユニクロ事業は大幅な増収増益となる見込み。
純利益を上方修正
今期の純利益予想は1900億円(従来予想1750億円)に上方修正した。ブルームバーグが集計したアナリストの予想平均1921億円には届かなかった。為替市場で円安が進んでいることから金融収益などの増加を想定に含めたという。今期の売上高予想は2兆2000億円、営業利益予想は2700億円に据え置いた。

岡崎CFOは、円安の効果は上期(21年9月-22年2月)に円換算で約4.5%、売上高と営業益を押し上げる効果があったと説明した。同社は1株当たりの年間配当額を前期比80円増やし、560円とする見通しも発表した。
創業者の柳井正会長は、会見で「円安のメリットは全くない、日本全体をみたらデメリットばかりだ」とし、「心配している」と述べた。また、原材料高でコストが上昇する中で利益確保しなければならないとしつつ、「国内の今の状況で安易な値上げはできない」とコメントした。
今期(22年8月期)の業績予想 |
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第2四半期(21年12月-22年2月期)の営業利益は前年同期比27%増の699億円だった。ブルームバーグが集計したアナリスト9人の予想平均657億円を上回った。
シンガポールやオーストラリアなどアジア・オセアニア地区で12月末以降に外出規制が緩和され、販売が回復したことが貢献した。欧州では例年に比べて気温が低く、防寒衣料の販売が好調だった。
ロシアでは、ウクライナ侵攻を受けてユニクロ店舗の営業を3月21日から一時停止していることから、下期(3ー8月期)は赤字を見込んでいるという。全体に占めるロシア事業の割合は、売上高、営業利益ともに2%程度としている。
73歳の柳井氏は会見で後継者問題についても触れ、「会社の経営を任せられる人材が次々と育っている。私の経営を引き継ぐ、次世代の体制も大枠は固まってきている」と明らかにした。
第2四半期(12-2月期)の業績 |
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