ユーロは底入れか、タカ派姿勢強めるECBの「体制シフト」で
Vassilis Karamanis、Libby Cherry-
3月に約2年ぶりの安値を付けたユーロ、回復基調にある
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ECB預金金利、12月までにゼロへの引き上げを短期金融市場が想定

Flags of the European Union (EU) outside the headquarters of the European Central Bank (ECB) in Frankfurt, Germany, on Thursday, Dec. 16, 2021.
Photographer: Andreas Arnold/Bloomberg- ユーロはウクライナでの戦争が激しくなる中で先月、約2年ぶりの安値を付けたが、欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利を終わらせる状況に市場が備える中で相場は底入れした可能性がある。
短期金融市場はECBが12月までに中銀預金金利を2014年以来初めてゼロに引き上げると想定し、より高利回りの資産購入でユーロを空売りする戦略が終わりに近づきつつある可能性を示唆している。ロシアとウクライナの協議が一段のセンチメント向上につながる中、ユーロは対ドルで2%余り上昇し、既に小規模なラリーを演じている。
先月には、欧州諸国とウクライナの地理的な近さやロシア産エネルギーへの依存を踏まえユーロはドルと等価になるまで下がるとアナリストは予想していた。しかし今では、過去最高水準のインフレ率を押し下げるため年内の利上げもあり得ると政策当局者があらためて表明していることで一部のトレーダーはユーロの一段高に備えている。
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バレンティン・マリノフ氏らクレディ・アグリコルのストラテジストは「ロシアとウクライナの協議をきっかけに外為市場の関心はユーロにとって他のよりプラスの材料に移った。タカ派色を強めるECBなどだ」と顧客向けリポートで指摘した。
これは、米連邦準備制度やイングランド銀行(英中央銀行)とは対照的に断固としたハト派と見られてきたECBにとって転機を示す。ECBの姿勢変化は欧州の利回りを押し上げた。
ドイツ銀行はこの「体制シフト」によるユーロへのプラス効果を市場はまだ十分に織り込んでいないと指摘。またサンタンデールはより安定的なリスク許容度に加え、米金融当局のタカ派的姿勢が織り込まれている現状でドルの一段高は限定的とみられることがユーロを支えるとし、フロアを1ユーロ=1.10ドルとみている。




原題:
Euro Bulls Call End to Currency Rout After ECB’s ‘Regime Shift’(抜粋)