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FRB、捉えにくい「ファントム・メナス」中立金利の水準模索

更新日時
  • 経済成長を加速も減速もさせない中立金利巡り当局者の意見一致せず
  • 中立金利を見誤ればリセッションの引き金となるリスク高める

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら当局者は、超緩和的な政策と金融状況を転換してより正常な水準にする取り組みを進めている。そこで問題なのは、目的地が不確かであり、利上げを進める中で情勢が変化する可能性があることだ。

  政策当局は経済成長を抑制も促進もしない中立金利の水準を巡って意見が一致せず、現在の高インフレ環境を考慮しない言葉でそれを表現している。金融緩和策の解除が移り気な金融市場と、超低金利に慣れた経済にどう影響するか当局は確信がない。

  アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は「どこが中立なのかを自信を持って言える人がいるとは思えない」と述べた。

  そうした状況は政策ミスを犯すリスクを高める。米金融当局が政策金利を引き上げ過ぎて米国をリセッション(景気後退)に追い込むか、十分に利上げせずインフレ高進を定着させるかのいずれかだ。

  スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は、米当局の金融引き締めによる景気減速を受け、向こう1年9カ月以内に経済が収縮するリスクは50%をはるかに超えると予想。パイパー・サンドラーのロベルト・ペルリ氏は、過去35年間、米金融当局が中立金利に達するかそれを超えるとほぼ毎回、経済がつまずいたと考える。

  パウエル議長は2018年にワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで行った講演で、経済学的概念でr*(Rスター)と呼ばれる中立金利に言及した。

  Rスターがどこにあるかは、捉えどころがないことが非常に多く、セントルイス連銀のブラード総裁はかつて、映画「スターウォーズ」シリーズの1作品のタイトルにある「ファントム・メナス」という言葉を引き合いに出したことがある。それは人口動態や格差、貯蓄、インフレ期待、生産性、労働市場の構造に影響を受ける可能性があり、こうした要素はどれもリアルタイムで読み取ることが難しいときもある。

Ready to Launch

Top banks are split over speed that Fed will hike this year

Source: Bloomberg

Note: No scheduled FOMC meetings in April, August or October

  3月16日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)四半期経済見通し(SEP)の中央値では、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は年末までに1.9%に、2023年末までに2.8%にそれぞれ引き上げられるとの予想が示された。

  ドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は、金利が中立水準をはるかに下回りインフレ率は高過ぎるとの認識で政策当局者は一致しているため、短期的には0.5ポイントの利上げを2回か3回行う方向でまとまり得ると指摘。だが、金利がもっと通常の水準に近づくにつれ、前進するためのコンセンサス形勢が難しくなりかねず、バイデン米大統領が指名したFRB理事候補らが予想通りハト派と判明すれば特にそうだと同氏は分析した。

  一つの問題は「何が中立かで当局者の意見が一致もしていないこと」だとフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は言う。SEPで示された中立金利(Rスター)の予想は2-3%のレンジで、中央値は2.4%。これらの予測はインフレ率が当局目標の2%にあることが前提とされており、現状はそれをはるかに上回る水準にある。

  当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は2月に前年同月比で6.4%上昇。また、米国債市場の動きに基づけば、向こう5年間は3%程度になる見通しだ。

  こうした状況はFRBが目指す中立金利が3%を超えるものであることを示唆しているとコーン元FRB副議長は話した。  

原題:Fed Seeking to Find Where ‘Phantom Menace’ Neutral Rate Sits(抜粋)

(8段落以降を追加して更新します)
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