大企業製造業の景況感が7期ぶり悪化、コスト高を懸念-日銀短観
伊藤純夫
更新日時
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業況判断プラス14、自動車のマイナス幅拡大し電気機械も悪化
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先行きも幅広い業種で原材料コスト上昇を懸念する声-日銀
日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の3月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス14となり、前回の昨年12月調査のプラス17から悪化した。悪化は7期ぶり。市場予想はプラス12だった。
業種別では、自動車がマイナス15と前回調査(マイナス8)からマイナス幅が拡大したほか、電気機械や食料品も悪化した。一方、生産用機械やはん用機械などは改善した。
非製造業はプラス9と前回調査のプラス10から悪化した。悪化は7期ぶり。市場予想はプラス5だった。
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エコノミストの見方
いちよし証券の愛宕伸康チーフエコノミスト:
- 原材料価格の高騰、輸入価格の高騰が企業の業況に悪影響を与えてきている。価格転嫁しないとやっていけないところが出てきているのは見て取れる。マクロ的には好ましくない状況であるのは間違いない
- 今のまま日銀が緩和政策を継続していき、10年金利の上限も何が何でも守るとやればやるほど日米金利差が拡大され、円安になり輸入価格を上げることとなる
- 日銀としては苦しい状況。政府としてできることは、財務相の発言などを通じて何とか円安を抑えていくくらいしかないと思う
詳細(日銀の説明)
- 回収基準日は3月11日。それまでに7割強が回答
- 製造業の業況判断悪化、原材料コスト増と部材調達難をあげる声が多い。先行きも幅広い業種で原材料コスト上昇を懸念。自動車は減産緩和に期待
- 非製造業の業況判断は感染再拡大や仕入れコスト上昇を背景に幅広い業種で悪化。改善業種からは堅調なIT関連需要などの指摘
- 非製造業で先行き悪化見込む企業は仕入れコスト上昇を要因として指摘。改善を見込む企業からは感染症の影響緩和を期待する声
- ウクライナ侵攻自体を業況判断悪化の要因とする指摘は少なかったが、原材料コストの上昇懸念の背景にウクライナ情勢がある可能性も
- 販売価格判断、大企業・製造業のプラス24は1980年5月調査以来、同非製造業のプラス13は91年5月調査以来の高水準
- 仕入価格判断、大企業・製造業のプラス58は2008年6月調査以来、同非製造業のプラス35は08年9月以来の高水準
- 大企業の21年度の設備投資計画は下方修正だが、過去平均を上回る計画。22年度も過去平均を上回る計画でスタート
- 企業の物価見通しは仕入れ・販売価格判断も上がっており、全般的に足元の物価高を反映した動き

(エコノミストの見方や日銀の説明などを追加して更新しました)
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