【ウクライナ】ゼレンスキー氏、交渉で前向きの兆候も攻撃続くと主張
Bloomberg News-
キエフはなお脅威にさらされていると米国防総省が見解
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対面交渉、停戦合意に至らぬも市場には楽観も
ロシアが29日の停戦交渉後にウクライナの首都キエフなどでの軍事作戦縮小を表明したものの、キエフは引き続き脅威にさらされているとの見解を米国防総省が示した。バイデン米大統領はロシアの実際の行動を見守りたいと述べた。ウクライナのゼレンスキー大統領は停戦交渉で一定の「前向き」なシグナルが見られたとしながらも、ロシアの攻撃は止まらないだろうと慎重な姿勢を崩さなかった。
キエフ周辺でのロシア軍活動縮小は限定的な公算大、戦術的な意図も
トルコのイスタンブールで行われた対面交渉では停戦合意には至らなかったものの、侵攻後初となる両国首脳の会談が実現する可能性が示唆された。協議後にロシア側は首都キエフと北部チェルニヒウ周辺地域での軍事作戦を大幅に縮小すると表明。ウクライナ側は欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)による安全保障の確約を求めた。
ロシアとウクライナ、交渉わずかに進展-軍事作戦は一部縮小表明 (2)

交渉前進への楽観から欧米の株価は上昇。原油先物と穀物相場は下落した。その後原油は戻している。一部の欧州諸国はロシア外交官の国外退去を求めた。米政府はウクライナへの5億ドル(約610億円)の追加支援を検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

コラム・社説 |
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ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。
ゼレンスキー大統領、停戦交渉で「前向き」のシグナル
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日の停戦交渉について、「前向き」なシグナルが見られるが、こうしたシグナルではロシア軍の砲弾の爆発はなくならないと恒例のビデオ演説で指摘。
大統領は交渉ではウクライナの主権と領土保全に関していかなる譲歩もしないと従来の見解を繰り返した上で、対ロシア制裁緩和の問題は侵攻が終了するまでは取り上げられないとした。

米国防総省、キエフへの脅威続いている
米国防総省のカービー報道官は記者団に対し、ロシアが作戦縮小を表明しても、プーチン大統領の目標は引き続きドンバス地方以外に広く及んでいるため、キエフへの脅威は終わっていないと述べた。
仏ロ首脳、ロシア産天然ガスのルーブル建て支払いについて協議
ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領は29日に会談し、ロシアが欧州連合に供給するロシア産天然ガスにルーブル建ての支払いを求めた問題について話し合った。ロシア大統領府が電子メールで送付した発表文で明らかにした。
LMEアルミ、下落-ロシア・ウクライナ停戦交渉受け供給懸念が後退
29日のロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム相場は3週間ぶり大幅下落。ロシアとウクライナの停戦交渉を受け、アルミの主要供給国であるロシアからの供給混乱を巡る懸念が和らいだ。
米大統領、ロシアの軍事作戦縮小の実行を見守りたい
バイデン大統領は停戦交渉後にロシアがキエフとチェルニヒウ周辺での軍事作戦を大幅に縮小すると表明したことについて、ロシアがどう行動するか見守りたいと述べた。
小麦・トウモロコシ先物大幅下落
シカゴの小麦とトウモロコシ先物は29日の取引で大幅安となった。ロシアが世界有数の穀倉地帯であるウクライナの一部で攻撃を弱める可能性を示唆したことが背景。
小麦・トウモロコシ先物大幅下落、ウクライナとロシア交渉巡り楽観論
マクロン氏、プーチン氏にマリウポリ休戦求める
フランスのマクロン大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談し、市民退避や国際支援供給のためウクライナ南東部の激戦地マリウポリでの一時休戦を求めた。仏当局者が明らかにした。プーチン大統領はこの要請に回答すると述べたが、時期は決まっていないという。
米政府、ウクライナへの5億ドル追加支援検討-関係者
米政府はウクライナへの5億ドルの追加支援を検討しており、欧州同盟国にも同程度の支援を行うよう求めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ロシアが交渉に真剣になっている兆し、米国は認めず
ウクライナとロシアがトルコで交渉し、ロシアが一部の軍事作戦縮小を約束したことについて、ブリンケン米国務長官はロシアの言葉でなく行動に米国は注目していると語った。
ブリンケン氏はモロッコで記者団に対し、「ロシアが言うことと行うことは別だ。米国は後者に注目している」と述べ、戦争の収拾に向けてロシアが「本気で真剣になっていることを示す兆しは見られていない」と指摘した。
ウクライナとロシアの交渉に楽観浮上、株価が上昇
ウクライナとロシアの交渉後にロシアが軍事活動の一部縮小を表明したことを好感し、ストックス欧州600指数は2%上昇。一方でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は一時7.1%安となり、バレル当たり100ドルを割り込んだ。ルーブルは1ドル=83ルーブルを突破し、ウクライナ侵攻前の水準に近づいた。
ロシア:協議は「建設的」、プーチン大統領会談も示唆
ロシアはウクライナとの29日の会談を「建設的」だったと評価し、首都キエフと北部チェルニヒウの周辺での軍事作戦を縮小すると表明した。プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談し、和平協定を締結する可能性も示唆した。
ロシア、2022年償還のユーロ債買い戻しを提案-支払いはルーブル
ロシアは2022年償還のユーロ債をルーブル建てで買い戻すことを提案した。ロシア財務省の発表によると、同国は4月4日償還のユーロ債を額面で買い戻す意向だ。
ロシア、2022年償還のユーロ債買い戻しを提案-支払いはルーブル
ウクライナ:安全保障の確約得られる場合のみ停戦が可能
ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は、イスタンブールで行っているロシアとの交渉では、人道的な問題を解決するための停戦と安全保障面の保証が話し合われていると語った。ウクライナの安全保障について国際的な確約が得られる場合にのみ「われわれは戦争を終わらせることができる」と述べた。
ロシア、2035年償還ユーロ債の利払い実施
ロシア政府は2035年償還ユーロ債のクーポン1億200万ドル(約126億円)の支払いを実施した。ウクライナ侵攻で経済的孤立を深める中でも、ロシアは外貨建て債券の利払いを継続している。
ロシアが1.02億ドルの利払い実施、35年償還ユーロ債-デフォルト回避
ミコライウの地方政府庁舎が被弾、大きく損壊
ミコライウ州の地方政府庁舎がロシア軍の砲撃を受け、大きく損壊したと、キム知事が明らかにした。この砲撃で生き埋めになっているとみられる民間人8人と兵士3人を救急隊員らが捜索しているという。同知事は戦時下のリーダーとしてウクライナ人の支持を集めている。

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原題:Ukraine Update: U.S. Doubtful After Russia Vows Kyiv Pullback(抜粋)