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SMBC日興社長「重大事態起こし反省」、管理体制の不備認める

更新日時
  • 法人としての責任免れない、内部管理体制の構築を経営最優先課題に
  • 専務のヒル被告ら5人起訴、佐藤副社長も相場操縦容疑で逮捕-地検

SMBC日興証券の近藤雄一郎社長は24日夜、都内本社で記者会見し、金融商品取引法違反(相場操縦)の罪で法人としての同社や役員らが起訴されたことなどを受けて、「重大な事態を引き起こしたことを深く反省している」などと謝罪した。

Financial Institutions in Japan As Libor Expiry Looms
SMBC日興のロゴ
Source: Bloomberg

  東京地検特捜部は同日午後、専務執行役員のトレボー・ヒル被告(51)ら5人を起訴したと発表。それによると同被告らは特定の5銘柄の株価を不正に維持しようと企てたという。別の1銘柄についての相場操縦に関わった疑いがあるとして、佐藤俊弘副社長を同日逮捕したとも発表した。

     会見で近藤社長は、これまでの社内調査の結果において「売買審査体制やその他の内部管理体制に不備があったことが認められた」と明らかにした上で、「法人としての責任は免れないものと考えている」と述べた。

     また、「業務の正常化に向け、公正な市場の仲介者にふさわしい強固な内部管理体制の構築を経営の最優先課題と位置付け、厳正な対処を行う」とも語った。すでに売買審査担当の増員など内部管理体制の見直しに着手した。

  東京地検の発表によると、起訴されたのは元エクイティ本部長のヒル被告のほか、執行役員で元同副本部長のアレクサンドル・アヴァキャンツ被告(44)、社員で元エクイティ部長の山田誠被告(44)、同じく社員で元ストラクチャード商品部長の岡崎真一郎被告(56)のすでに逮捕されていた4人に加え、元エクイティ本部副本部長で執行役員の杉野輝也被告(57)。

     ヒル被告らは、2019年12月から20年11月にかけ、上場企業の大株主らから保有株式をまとめて買い取り、投資家に転売する「ブロックオファー」と呼ばれる取引で、5銘柄の株価を不正に維持した。立合時間終了直前に大量の買い注文を入れ、株価が前日終値に比べて大幅に下落しないようにしたことが違法な安定操作に当たるとされた。

  証券取引等監視委員会によると、起訴の対象となった5銘柄は小糸製作所モスフードサービスアズワンファイバーゲート京葉銀行

    さらに、佐藤容疑者はそれら5銘柄とは別の東証1部の銘柄について21年4月、山田被告らと共謀し、同様にブロックオファー取引において株価を違法に維持した疑い。

  発表資料などによると、佐藤容疑者は三井住友銀行出身。同行常務執行役員を経て19年5月にSMBC日興常務執行役員に転じた。グローバル・マーケッツ部門を統括しており、同部門エクイティ本部に所属していたヒル被告の直属の上司だった。

     近藤社長は会見で、佐藤副社長から今回の事件に絡む取引の報告は自身は受けていないと述べた。一連の事件が業績に与える影響については、具体的な影響は計りにくいとしてコメントを差し控えた。親会社の三井住友フィナンシャルグループや三井住友銀行の責任についての質問には、「当社で起きた当社の問題だと認識している」と述べるにとどめた。

   ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一シニアアナリストは、今月4日のヒル被告の逮捕時点ですでに機関投資家などからの取引停止といった動きは始まっているとして、副社長が逮捕されてもSMBC日興のビジネス上の影響という点では「それほど変わらない」と指摘。

  一方、「行政処分の勧告でないため、主に嫌疑事実の羅列であって違法と適法の線引きが類推できない。業界全体が疑心暗鬼になっているのでは」と述べ、「現状では他社もSMBC日興のブロックオファーに当たる取引を手控えるだろう。株価低迷でエクイティー業務が振るわない中、業界全体への悪影響が出る可能性がある」との見方を示した。

  監視委は23日、不正な株取引で株価の維持を図ったとして、ヒル被告ら7人と法人としてのSMBC日興を相場操縦の疑いで東京地検に刑事告発したと発表していた。

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(会見の内容を追加して記事を更新します)
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