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市況高騰で恩恵受ける総合商社、ロシアリスクへの警戒感もくすぶる

  • 三井物、三菱商、丸紅の株価は軒並み上昇-今期業績は最高益見込む
  • 信用リスクを示すCDSは一時急騰、足元で縮小も依然高水準

歴史的な商品市況高の恩恵を受けている企業がジレンマに直面している。ウクライナへの侵攻で制裁下にあるロシアへのエクスポージャーに対する警戒感がくすぶっているためだ。

  これは三井物産や三菱商事、丸紅を含む国内大手商社のケースだ。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウエイが株式を保有する5大商社は資源高を背景に今期(2022年3月期)業績で過去最高益を見込んでおり、足元で株価は軒並み急上昇している。

今期業績は軒並み最高益を更新へ
 
 

  ただ、一部のアナリストは、商社が抱えるロシア向けエクスポージャーについて引き続きリスクを警戒している。信用リスクを示す各社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は先週にかけて急上昇した。足元では低下傾向にあるが、依然として水準は高い。

  ピクテ投信の糸島孝俊投資戦略部ストラテジストは、ロシアの企業とビジネスをしているということで、「レピュテーション(評判)リスクはある」と指摘。今後起こりうるリスクが株価とCDSに全て織り込まれている訳ではないとみる。

  商社各社のCDSは足元で低下しているものの、依然として投資家の懸念を反映している水準だ。月初からのCDS拡大幅は、三井物が11.7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、三菱商が3.6bp、丸紅が2.3bp。一方、指標となるマークイットiTraxx日本指数は1.2bpの低下にとどまっている。

各社の5年物CDSの推移
 
 

  三井物のロシア向け投融資保証残高は昨年12月末時点で約4600億円と、全世界向けエクスポージャーの5.3%を占める。三菱商は昨年3月末時点で2500億円程度のロシア向けエクスポージャーを有し、丸紅は期間1年以上の対ロシア長期エクスポージャーを約250億円有していると、各社がそれぞれ明らかにした。

  全体のエクスポージャーから見れば、ロシア向けの比率はそれほど大きいとは言えないものの、欧米企業などの間でロシアから事業撤退の動きがある中、日本の商社は慎重な姿勢を維持している。仮に情勢が急変した際には、ロシア向け投資の再考を迫られる可能性もある。

  ロシア事業について三井物の広報担当者は、日本政府や事業パートナーなどと協議を続け、適切に対応するとの方針に変化はないと説明。三菱商の広報担当者は、現状で財務健全性への重大な影響は想定されていないとし、案件ごとに総合的に今後の対応を検討していくと回答。丸紅はコメントを控えた。

  一方、一部のアナリストは、商社のCDS上昇が投資の好機になる可能性があると捉えている。大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストはリポートで、三井物と三菱商のロシア向けエクスポージャーが比較的多額だと指摘。一方で「エネルギーや資源高の恩恵もあり過去最高水準が見込まれる今期業績で十分に吸収可能だ」と分析した。

原題:

Surging Japan Trading Firms Prompt Some to Warn of Russia Risks(抜粋)

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