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韓国や中国の企業、「脱・ロシア」に消極姿勢-日本企業と対照的

  • 日本ではJTやファーストリテ、資生堂などがロシア事業見直し公表
  • 中国に加えインドもプーチン氏批判を避ける政府と歩調合わせる

ロシアとの関係を断ち、ウクライナへの侵攻を非難する欧米企業に続き、アジア企業にもその動きが広がってきた。ロシアへの経済制裁によって、同国での事業を維持するのが困難になってきたことが背景にある。ただ、それぞれの事情により対応には違いも表れている。

  ロシアでの市場シェアが約37%に上る日本たばこ産業(JT)は10日、ロシア市場における全ての新規投資とマーケティング活動を一時停止すると発表した。同社はロシア市場での事業を通常通り運営するとしていたが、数日で方針を転換した。

  衣料品チェーンの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも、ロシアで展開する50店舗を一時的に閉鎖した。7日には柳井正会長兼社長が事業継続の方針を示していたが、ソーシャルメディアでボイコットの声が上がったほか、駐日ウクライナ大使からの反発を招いた。

  しかし、アジアの企業にはロシアでの事業を守る多くの理由がある。中国とインドの企業は、ロシアのプーチン大統領への批判を避けている政府の動きを注視しながらも、事業継続で歩調を合わせている。

  中国当局者と同国国営企業は、ロシアのエネルギーやコモディティー企業に対する投資の可能性について協議中だ。ロシアに多額の投資をするインドのエネルギー企業の大半は国営で、これまでロシア事業についての目立った行動は控えている。

  日本や韓国でも、ロシアで事業活動を続ける企業はある。一部の石油関連プロジェクトや自動車メーカーは、ロシアでの事業確立に数十年を費やしており、容易に停止することはできないからだ。

  それでも、ロシアで事業を続けていては世論の反発をかわすことができないとの判断に傾く日本企業が増えている。資生堂は9日、ロシア向けの輸出・出荷の即時停止と同国での広告宣伝を全面中止すると発表し、併せてウクライナでの停戦を呼び掛けた。

  こうした動きについて、第一生命経済研究所の田中理・主席エコノミストは「特にグローバルで事業を展開する企業は、最終消費者や投資家などさまざまな視線にさらされており、人権の面を考慮した経営判断を迫られている」と指摘する。

  人道的観点からの事業見直しという点では、海外企業にやや後れを取ったものの「日本企業も敏感に反応しており、人権重視の考え方が浸透してきている」とも話す。

Russia's Capital Begins Lockdown Easing
モスクワのユニクロ店舗
Source: Bloomberg

  国際的な圧力の高まりや経済制裁に伴う障害を理由に、他の日本企業でもロシア事業を停止する動きが出ている。ウクライナのフョードロフ副首相がツイッターでゲーム企業に対して行動を呼び掛けた後、ソニーグループ任天堂はロシア向けの出荷停止に踏み切った。

  英石油会社BPシェル、米エクソンモービルは数十億ドル相当のロシア資産から撤退すると表明し、業界を驚かせた。

  一方で、ロシアとの関係を築き上げるのに数十年をかけてきた三井物産三菱商事は、同国内での事業に対する方針を変えていない。両社は石油・液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」にも参画している。コンサルタント会社ウッド・マッケンジーによれば、ロシアのエネルギー関連への日本からの投資額は約84億ドル(約9900億円)に上るという。

  韓国企業も、何年も注力してきたロシア市場から撤退することには及び腰だ。現代自動車と傘下の起亜自動車は、ロシアでの自動車販売台数全体の約23%を占めている。ブルームバーグが食品や自動車などの企業に取材したところ、少なくとも5人の担当者が匿名を条件に、ロシア市場は重要であるため撤退するのは難しいとの認識を示した。

  ウクライナのポノマレンコ駐韓大使は、ロシアへの出荷を停止する米国企業を引き合いに出し、他の韓国企業にも続くよう求めた。

  香港のコンサルタント会社スティーブ・ビッカーズ・アンド・アソシエーツのスティーブ・ビッカーズ最高経営責任者(CEO)は、ロシアで事業を続ける企業は戦争が続く限り、同国からの事業撤退や停止を求める圧力と戦い続けなければならないだろうと予想している。

原題:

Japan Inc Joins Russia Exit as Korea, China Companies Remain(抜粋)

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