米国株が反落、国債利回り上昇-CPIの伸び加速
Stephen Kirkland、Vildana Hajric1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。
10日の米株式相場は反落。米国債利回りは上昇した。米消費者物価指数(CPI)の伸びが加速したことが背景。ロシアはウクライナでの攻撃を弱める兆しを見せていない。
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S&P500種株価指数はテクノロジー株を中心に下げ、前日比0.4%安の4259.52。ただ、日中安値からは下げ幅を縮小した。ダウ工業株30種平均は112.18ドル(0.3%)安の33174.07ドル。ナスダック総合指数は1%下落。
米国債相場は下落。10年債利回りが一時2月以来の高水準となったほか、30年債利回りは昨年5月以来の高い水準に達した。ニューヨーク時間午後4時20分現在、10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.99%。
Eトレード・ファイナンシャルの投資戦略担当マネジングディレクター、マイク・ローウェンガート氏は「市場はインフレ上昇を既に織り込んだとみられ、むしろウクライナ情勢や商品高による川下への影響を注視している。これらは市場全体に既に衝撃を与えている」と指摘。「投資家にとって重要なのは、波乱の展開を覚悟しつつも、分別を失わず、感情的に反応しないことだ」と述べた。

外国為替市場ではユーロが安い。ここ9営業日では7日目の下げとなった。欧州中央銀行(ECB)のタカ派的なトーンを受けて一時は上昇する場面もあったが、上げを維持できなかった。欧州以外の資源国通貨は堅調。米CPIを受けて、ドルは値上がりした。
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ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏は「ECBの予想外のタカ派姿勢でもユーロが1.11ドルを大きく超えてこないのは、押し目買いよりも戻り売りの機会と捉えている人がいることを示唆している」と指摘した。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%上昇。ニューヨーク時間午後4時21分現在、ドルは対円で0.2%高の1ドル=116円11銭。ユーロは対ドルで0.8%安の1ユーロ=1.0984ドル。
ニューヨーク原油先物相場は続落。2月の米CPIが前月に続いて40年ぶりの高い伸び率となり、物価の急騰が需要破壊に拍車を掛けかねないとの懸念が広がった。
この日は主要産油国グループやウクライナ情勢に関して新しい動きが少なく、原油価格はドル相場との典型的な反比例関係が戻った。オアンダのシニア市場アナリスト、エド・モヤ氏は「最新のインフレ統計では幅広い物価上昇が示されたが、ウクライナでの戦争により、こうした物価の上昇軌道は夏になっても続く公算が大きい。それが原油の需要破壊につながる可能性がある」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物4月限は、2.68ドル(2.5%)安の1バレル=106.02ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は、1.81ドル安の109.33ドル。
ニューヨーク金先物相場は反発。ウクライナとロシアの外相会談で停戦に向けた進展がなかったことなどが材料。ウクライナのクレバ外相によると、ロシアは要求が満たされるまで攻撃を継続すると示唆した。
この日発表された米CPIは40年ぶりの高い伸び率となった。最近のエネルギー価格の高騰を受け、インフレは今後さらに高進するとみられる。ABNアムロのストラテジスト、ジョルジェット・ブーレ氏は「投資家がインフレヘッジとして金を買う動きは続くだろう」とリポートで指摘した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、0.6%高の1オンス=2000.40ドルで取引を終えた。
原題:Stocks Fall as Treasury Yields Climb; Oil Slips: Markets Wrap(抜粋)
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