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三菱地所、ESGファイナンス毎年活用へ-現状3割の社債比率高める

  • 市場のトレンド見極めつつESG債の比率高めたい-経理部の石井氏
  • 日本企業の社債発行額に占めるESG債、21年度は初の1割超に上昇

三菱地所はESG(環境、社会、企業統治)ファイナンスを通じた資金調達を増やしていく。投資家からの需要が高いESG債を活用し、負債に占める社債の比率を現状の約3割から引き上げる方針だ。

  三菱地所は、事業で使用する電力を2050年に全て再生可能エネルギーにする目標を掲げている。経理部の石井徹・財務ユニットリーダーは2日のインタビューで、銀行借り入れを含めたESGファイナンスはこうした取り組みを市場参加者や一般社会に「アピールできる一つの機会」であり、今後も「年に1回くらい何かできればいいと思っている」と述べた。

  ESG債については、ここ1、2年で人気が確認されてきたため「コストも下げられるのであればやらない手はない」と話し、市場のトレンドを見極めながらESG債の比率を高める意向を示した。同社は18年6月に国内総合不動産として初めてグリーンボンド(環境債)を発行。20年にはサステナビリティー・リンク・ローン、21年にはポジティブ・インパクト・ファイナンスでも資金を調達した。 

  ブルームバーグのデータによると、21年度の国内事業会社によるESG債発行額は現時点で約2兆円。社債発行総額に占める割合は約14%と、初めて10%を超えた。東急不動産ホールディングスが社債残高に占めるESG債の比率を長期的に引き上げる方針を表明するなど、資金調達の主な手段とする動きが出てきた。

社債発行総額に占めるESG債の割合が上がっている

ブルームバーグ

21年度は3月3日時点の起債額。ESG債は環境債と社会貢献債、環境・社会貢献債、サステナビリティーリンク債、トランジション債

  三菱地所が21年3月末時点で抱える有利子負債のうち約66%を銀行借り入れが占め、社債は約32%。今後は金融機関への自己資本規制の強化を踏まえ、起債環境が良好であれば「社債の比率を増やしていかざるを得ない」と石井氏。社債のなかでも投資家からの需要が見込めるESG債は有力なツールになり得る。

利上げ局面

  米国では今月から利上げが始まる見通しで、国内でも日本銀行の金融緩和の修正観測から国債利回りが一時急上昇した。社債発行企業にとっては調達コストの上昇が本格的に意識される局面を迎えつつある。

  三菱地所の借り入れを含めた有利子負債の平均残存年限は20年度末時点で8.16年と、09年度以降で最長だ。長期にわたるプロジェクトに合わせた安定的な資金調達のため、石井氏は今後も負債年限を「長くしたいかと聞かれればイエスだ」と語った。

  一方で、新型コロナウイルス禍で最近は年限30年超の社債発行を控えてきたとし、今後もイールドカーブや償還のスケジュールを見ながら臨機応変に対応したいという。

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