ゴールドマン、今や幹部の流出阻止で手段選ばず-「最後の手」も検討
Sridhar Natarajan-
転職者でなく違反行為に通常適用されてきた既得の株式没収も検討
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退職時の制限を強化するため、競合相手と見なすリストの範囲を拡大

ウォール街の金融機関が最も優秀な人材つなぎ留めに苦労する中で、米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループは経営幹部の慰留のためにボーナスの支払いをただ増やすだけなく、締め付けも行う。
ゴールドマンは退職する経営幹部と緊密な関係を育て、実業界で最も強力な出身者のネットワークを数十年にわたり築いてきた。もうかるセカンドキャリアに就くことが多い元幹部らは、助言やディール、トレードでゴールドマンにしばしば協力を求める。
1年前のことだが、将来を嘱望されていたオマール・イスマイル氏(42)と、同氏を支える副責任者でゴールドマンに一生をささげたかに見えたデービッド・スターク氏が、米小売りウォルマートのフィンテックスタートアップに移籍し、デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)の激しい怒りを買った。
ゴールドマンは今や報復として、既得の株式報酬を没収する最後の手段を検討している。これは違反行為に通常適用し、転職する経営幹部に行使されることはなかった。
投資銀行の元責任者で、デルの創業者、マイケル・デル氏の投資会社MSDパートナーズのCEOを現在務めるグレッグ・レムカウ氏やエリック・レーン氏は、退職後に顧客と見なされる企業に移ったが、ゴールドマンに長年忠誠を誓ってきたこれら元幹部から既得の報酬を取り上げるなど、驚くべき対応はほかにもある。
退職する行員への制限を強化するため、ゴールドマンの競合相手と見なすリストの範囲を拡大する手法に伴うものだ。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

ゴールドマンの広報担当パトリック・スカンラン氏は「株式報酬は受益者が署名した契約で規定されている。ブルームバーグが言及した個々のケースについて、満たされる明確な条件が存在した」と説明した。レムカウ氏とレーン氏、イスマイル氏、スターク氏の代理人は、いずれもコメントを控えている。
原題:Goldman Wants Its Bonuses Back as Punishment for Jumping Ship(抜粋)