シカゴ連銀総裁、金融政策の「大幅な調整」必要-インフレ抑制で
Steve Matthews、Olivia Rockeman、Craig Torres-
インフレ圧力は明らかに経済のより多くの分野に拡大-エバンス総裁
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利上げ開始時に「大きな一歩」は必要ない-NY連銀総裁

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S., on Saturday, Nov. 20, 2021.
Photographer: Samuel Corum/Bloomberg米シカゴ連銀のエバンス総裁は、インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だと指摘した。一方、長期にわたる引き締めについてはより慎重な姿勢を示した。同総裁は、米金融当局で最もハト派寄りの一人と認識されている。
エバンス総裁は18日、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスが主催したニューヨークでのコンファレンスで、「現在の金融政策スタンスはまごついており、大幅な調整が必要だ」と述べた。
一方でニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は同日、ニュージャージー州での別のイベントで、3月の利上げは「適切」としつつ、「最初に大きな一歩」を踏み出すべきだとの説得力ある論拠は見られないとも指摘した。市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)が3月会合で通常の0.25ポイントではなく0.5ポイントの利上げに踏み切るとの観測も出ている。バランスシートの縮小に関してはウィリアムズ総裁は、より速いペースで実施し得るとしたほか、前回の利上げサイクル時との比較で、利上げ開始からバランスシート縮小開始までの期間がより短くなり得るとの見解を示した。
エバンス総裁はFOMCによる近い将来の利上げ開始計画を支持した一方、より長期にわたって一段と高い水準に政策金利を引き上げる必要性には疑問を呈した。総裁は今年のFOMCで投票権を持たない。

エバンス総裁はウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事と共にパネル討論会に出席。インフレについてエバンス総裁は、「政策を巡る状況について言うと、現在のインフレはコロナ禍の影響を受けた供給サイドの異例な動きが主因だと私はなお考えている」と説明。その上で、「ただインフレ圧力は明らかに経済のより多くの分野に広がっており、金融政策の大幅な再調整が必要になっている」と述べた。
エバンス氏は、米国を含む先進国では構造的な要因を背景に長期の基調的インフレは低い水準が続くと引き続き考えていると説明。政策を抑制的な領域に移行させる必要はないとの認識を示した。金融当局者らは、長期の金利目標水準を約2.5%と推定している。エバンス総裁は長期のインフレ期待はなお抑制されていると述べた。
同氏は「政策を巡る現在の状況から判断すると、必要とされる金融面での抑制の度合いは過去の局面と比較して小さくなる可能性が高く、また過去に見られた多くの状況よりも雇用の責務達成へのリスクは低いとみられる」と語った。
またコロナ禍をきっかけとした高インフレと供給混乱はいずれ解消するとしつつ、データを慎重に注視していく必要があると指摘した。
原題:Fed’s Evans Urges Substantial Policy Shift to Counter Inflation(抜粋)