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高インフレで通貨政策は新たな時代、「逆の通貨戦争」とゴールドマン

  • 通貨上昇は輸入物価を抑制、インフレ対策で中銀は通貨高を模索か
  • 日本は例外、黒田総裁は輸入物価上昇で円安の影響大きくないと発言
ユーロ・ドル相場(白)、米独2年債利回り差(青)
ユーロ・ドル相場(白)、米独2年債利回り差(青) 出所:ブルームバーグ

経済成長を促進するために通貨を押し下げているとかつて批判された中央銀行の総裁らが、今はインフレの脅威と闘うために通貨の押し上げを模索しているようだ。

  約11年前にブラジルのマンテガ財務相(当時)は先進国を「通貨戦争」を仕掛けているとして非難した。通貨安を通じてリセッション(景気後退)脱却を図ろうと先進国が金利を引き下げ、それがブラジルなどの通貨高につながっていると論じた。

  当時の低過ぎる成長に代わって、今は高過ぎるインフレが多くの国々にとって主要な懸念だ。通貨が上昇すると、輸入品の価格が割安になるため物価を抑制する要因として働く。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の「SHOK」モデルによると、ドルが第2四半期(4-6月)に貿易加重ベースで10%上昇すると、翌2四半期のインフレ率が約0.4ポイント押し下げられる。ユーロが同ベースで10%上昇すると、ユーロ圏のインフレ率押し下げ効果はドルよりもやや大きくなる。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長や欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁らは、最近の自国・地域の通貨上昇について支持を表明してはいないが、否定的な見解も示していない。

  政策当局者らが通貨高をインフレ抑制の手段として見いだしているとして、ゴールドマン・サックス・グループなどウォール街のストラテジストらは「逆の通貨戦争」が起きていると表現している。

  ゴールドマンの欧州金利戦略責任者、ジョージ・コール氏は「通貨高は望ましくないという考えはもはや存在しないというのが大きな変化だ」と指摘。「今回の引き締めサイクルにおいては強い通貨が実際には友人になり得ると認識する主要10カ国・地域(G10)の中央銀行が増えても驚きではないだろう」と述べた。

  高過ぎるインフレでなく低過ぎるインフレがまだ問題となっている日本は、こうしたトレンドの中で例外的な存在だ。日本銀行の黒田東彦総裁は今週、最近の輸入物価の上昇について円安の影響は大きくないとの考えを示した。

  JPモルガン・チェースの指標によると、円は2020年3月以降、主要10通貨のうちパフォーマンスが最悪となっている。

原題:

Inflation Augurs New Era of Central Bank Currency Tensions (1)(抜粋)

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