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日本製鉄常務、最大5兆円の脱炭素投資「半分以上の政府支援を」

更新日時
  • 研究開発にも1兆円かかると試算、現状の基金支援「全く足りない」
  • 100%水素直接還元やCCS/CCUS技術も開発していく考え

日本製鉄は合計6兆円に膨らむ脱炭素化実現に向けた研究開発や設備投資の費用について、欧州のアルセロール・ミタル中国宝武鋼鉄集団など海外の競合メーカーに対抗するため、政府に十分な支援を求める方針だ。

  鈴木英夫常務執行役員は14日のインタビューで、日鉄の脱炭素化に必要な設備投資が2050年までに4-5兆円に上ると予測。日本の鉄鋼メーカーが国際的に不利な競争にならないよう政府の補助金が必要だと強調し、「最低でもその2分の1以上の支援をお願いしたい」と述べた。

Nippon Steel Managing Executive Officer Hideo Suzuki
日本製鉄・鈴木常務
Source: Nippon Steel Corp.

  鉄の製造には石炭を使って鉄鉱石から酸素を取り除く必要があり、その工程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出する。鉄鋼業の排出量は日本全体の約15%を占め、製造業の中で最も多い。日鉄をはじめ、アルセロール・ミタルや宝武集団、韓国のポスコなど世界の主要鉄鋼メーカーは50年までにCO2の実質排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルの実現を掲げ、世界的な技術開発競争を繰り広げている。

     脱炭素化技術の開発で日鉄が最も意識するのは、世界の粗鋼生産の過半を占める中国勢の動向だ。鈴木常務は、日本の鉄鋼メーカーは技術的に先行しているが、「中国は非常に強い指導力や強制力、資金力もある。ライバルとして非常に手ごわい」とみている。

  今年1月、国内企業の脱炭素化を後押しする目的で政府が創設した2兆円の基金から日鉄など鉄鋼メーカーに対し、水素活用技術などの研究開発費用として10年間で1935億円拠出されることが決まった。

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水素製鉄の試験高炉(千葉県君津市)
Source: NEDO

  しかし日鉄では、同社だけで脱炭素化の研究開発に1兆円かかると試算する。中国では国営企業の宝武集団に対し500億元(21年7月発表時のレートで約8500億円)と巨額の基金が中国政府によって設立されており、鈴木常務はこれらとの比較で国内の支援規模は「全く少ない」と指摘し、追加の支援を求めていく考えを示した。

  同社は脱炭素化に向け、原料の鉄くずを電炉で溶かして再生するリサイクル鉄の拡大に加え、欧州を中心に開発が進められている100%水素を使って鉄鉱石を直接還元し、CO2を出さない製法を採用する方針。また、鉄鋼業界の主流設備である高炉方式に関しても、水素を取り入れてCO2排出量を削減し、余った分を回収・貯蔵(CCS/CCUS)する技術も開発していく意向だ。

  経済産業省・製造産業局金属課の橋森武志課長補佐は、ブルームバーグの取材に対し「カーボンニュートラルには大きな金額がかかる。今後そうした研究開発・設備投資に関して支援の必要性が生じた場合は、政府内でしっかり検討して必要な支援を行っていきたい」と述べた。

(文末に経済産業省担当者のコメントを追記します)
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